健康関連ホープ

概要

生物学的な寿命の延伸だけだけが臨床研究のアウトカムとはいえない時代を私たちは迎えました。したがって、病と共に生きる患者さんが感じるアウトカムで大事なものは何か?を問うことも重要と考えております。
私たちは、健康に関連するホープの概念を測定可能にすることを目的に、健康関連ホープ尺度(HR-Hope)の開発と応用に取り組んでまいりました。

まずはじめに、18項目の健康関連ホープ尺度(health-related hope: HR-Hope)の開発と計量心理学的検証を行いました。「健康と病/Health & illness」、「役割と社会的なつながり/Role & social connectedness」、「生きがい/Something to live for」の3つのドメインで構成されます。高い信頼性係数と、一般人向けの希望尺度よりもすぐれた基準関連妥当性が確認できました。

治療が困難な疾患を有する患者や超高齢者を対象とした研究におけるアウトカム指標として活用されることが期待されます。また、健康行動を規定する心理的な要因の1つとしても、今後の活用が期待されます。

京大の福原教授、関西大学の脇田教授、聖マリアンナ医科大学の柴垣教授らと研究をご一緒できたお蔭で、可視化することができました。また、日赤医療センターの石橋先生方の並々ならぬご支援のお蔭でもあります。

主な研究成果

Kurita N#, Wakita T, Fujimoto S, Yanagi M, Koitabashi K, Suzuki T, Yazawa M, Kawarazaki H, Shibagaki Y, Ishibashi Y. (#corresponding author)
Hopelessness and depression predict sarcopenia in advanced CKD and dialysis: a multicenter cohort study
ホープレス(絶望感)とうつが進行期慢性腎臓病と透析患者のサルコペニアを予測する:多施設コホート研究
The Journal of Nutrition, Health & Aging 2020; (inpress)
Kurita N#, Wakita T, Ishibashi Y, Fujimoto S, Yazawa M, Suzuki T, Koitabashi K, Yanagi M, Kawarazaki H, Green J, Fukuhara S, Shibagaki Y. (#corresponding author)
慢性腎臓病患者における健康関連ホープと治療のアドヒアランスとの関係性:多施設横断研究
BMC Nephrology 2020; 21: 453.

成人の慢性腎臓病(CKD)の病期(ステージ)と健康関連ホープ尺度(HR-Hope)との関係性、およびHR-Hopeとアドヒアランスの負担感・身体指標との関係性を横断的に分析しました。HR-Hopeスコアが高いほど、水分制限・食事制限の負担感が軽く、収縮期血圧が高くないことがわかりました。HR-Hopeスコアは、保存期ステージ5の参加者で最も低く、ステージ5DのHR-Hopeスコアはステージ4と同程度でした。
CKDの治療アドヒアランスは、健康に関連するホープをどの程度持っているかに依存しており、そのホープはCKDの病期によって異なる可能性があることを示しました。
科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号16H05216; 研究代表者:柴垣有吾; 研究分担者:福原 脇田 栗田)を受けて実施した研究です。

Fukuhara S*, Kurita N*#, Wakita T, Green J, Shibagaki Y. (*co-first authors; #corresponding author)
健康関連ホープ(HR-Hope)を測定する尺度:開発と計量心理学的検証
Annals of Clinical Epidemiology 2019; 1: 102-119.

健康に関連するホープの概念を測定可能にすることを目的に、18項目健康関連ホープ尺度(HR-Hope)の開発と計量心理学的検証を行いました。「健康と病/Health & illness」、「役割と社会的なつながり/Role & social connectedness」、「生きがい/Something to live for」の3つのドメインで構成されます。高い信頼性係数と、一般人向けの希望尺度よりもすぐれた基準関連妥当性が確認できました。治療が困難な疾患を有する患者や超高齢者を対象とした研究におけるアウトカム指標として活用されることが期待されます。また、健康行動を規定する心理的な要因の1つとしても、今後の活用が期待されます。科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号16H05216; 研究代表者:柴垣有吾; 研究分担者:福原 脇田 栗田)を受けて実施した研究です。全文読めます[free-fulltext]。

大塚類, 栗田宜明, 脇田貴文, 龔恵芳
在宅医療患者の語りから探る希望.
青山学院大学教育学会紀要「教育研究」 2019; 63: 73-84.

栗田宜明, 脇田貴文, 福原俊一, 柴垣有吾.
サスティナブルな患者指導を考える 効果的な患者指導のエビデンス作成を目指した尺度開発と検証の実際.
日本透析医学会雑誌 2019; 50: 180-181
[abstract]

脇田貴文, 栗田宜明, 加藤欽志, 冨永直人, 紺野愼一, 福原俊一, 柴垣有吾
成人慢性疾患患者における「希望」の概念の検討-患者へのインタビュー調査(質的研究)を通して-.
関西大学心理学研究 2016; 7: 17-32.