芳賀 大樹 大学院生(博士課程)
大阪市立総合医療センター 集中治療部 医長
芳賀 大樹
Taiki Haga, MD
1980年生まれ。神奈川県出身。2005年奈良県立医科大学卒業。2023年10月福島県立医科大学 大学院医学研究科 臨床疫学分野入学(博士課程)。
私はこれまで小児を中心とした集中治療に臨床一筋で携わってきましたが、日常の診療で未解決の疑問に直面することが増え、そのような疑問を出発点とする臨床研究に興味を持つようになりました。医師10年目になった時に、臨床研究のイロハもわからない状態で、手探りでデータ収集と統計解析を試み、初めての英語論文を約1年かけて書きました。論文の完成後、指導医に査読と修正を依頼しましたが、数年間返事が戻ってくることは無く、その論文は未投稿のままお蔵入りとなりました。これは自分の論文の質が低すぎて、指導の仕様も無かったのだと思います。この経験から、他力に頼らず自分自身の力だけで英語論文を完成させたい(させないといけない)、という強い意志が芽生えました。書籍やセミナーを通じて臨床研究のスキル(研究デザイン、臨床統計、論文執筆)を学び、2本目の英語論文に挑みました。何度もリジェクトされ、辛辣なコメントに心が折れそうになりましたが、1本目の挫折とこの論文に費やした労力を思い出し、諦めずに投稿し続けました。最終的に16回目の投稿でようやく論文が受理されました。そのときの感動は言葉では言い表せないほどで、そこから臨床研究の楽しさに嵌まっていきました。自分のペースで論文投稿を続け、実践から臨床研究のコツを少しずつ学び、論文執筆に自信を持つようになりました。しかしながら、年齢を重ね、後輩を指導する立場になったことで、自分の知識の浅さを痛感するようになりました。当たり前ですが、実践からの学びは、実践したことからしか学べません。つまり自分の知識や経験は、実践していない部分がぽっかり抜け落ちている、まさに虫食いのような状態だったのです。そこで学問として系統的に臨床研究を学びたいと強く考えるようになり、本大学院の臨床疫学分野への入学を決意しました。これまでの経験を生かし、集中治療領域の診療の質を向上させるための臨床研究を世界に発信できるよう、日々研鑽してきたいと思っております。
【所属学会・資格】
日本集中治療医学会 (集中治療専門医)
日本小児科学会 (小児科専門医・指導医)
日本救急医学会 (救急専門医)
【研修歴・臨床歴】
2005年 星ヶ丘厚生年金病院 (現:星ヶ丘医療センター) 初期臨床研修
2007年 奈良県立医科大学附属病院および関連病院 小児科・新生児科 レジデント
2011年 国立成育医療研究センター 集中治療科 フェロー
2014年 日本大学医学部附属板橋病院 救命救急センター 専修医
2015年 国立成育医療研究センター 集中治療科 医員
2016年 大阪市立総合医療センター 集中治療部 医長
[主な臨床研究]
1. Haga T, Tani M, Oi T, Sakihama H, Sasaki K, Fujiwara N, Miyaji M, Okada H, Itakura R, Noda S, Wada S, Yamagami Y, Koizumi T, Horikawa A, Omori N, Sato M, Morota J, Ide K
The Japanese Pediatric Continuous Renal Replacement Therapy (jpCRRT) Registry: Study Protocol
Annals of Clinical Epidemiology 2023; (in press)
2. Matsuda T, Haga T, Sakaguchi T, Kan Toshiaki, Otsuka Yasunori
A case of anti-NPX-2 antibody-positive dermatomyositis resulting in massive haemothorax with acquired factor XIII deficiency
Modern Rheumatology Case Reports 2023; doi: 10.1093/MRCR/RXAD049
3. Haga T, Ide K, Tani M
Characteristics of pediatric continuous renal replacement therapies in hospitals with pediatric intensive care units in Japan
Therapeutic Apheresis and Dialysis 2023;27(3):562-570; doi: 10.1111/1744-9987.13958
4. Haga T, Masuyama T, Hayashi Y, Atsumi T, Ishii K, Fujiwara S
Characteristics of In-Hospital Patients with Congenital Heart Disease Requiring Rapid Response System Activations: A Japanese Database Study
Congenital Heart Disease 2022; 17(1): 31-43. doi: 10.32604/CHD.2022.017407
5. Haga T, Sakaguchi T, Kazuta T, Morooka T, Maruyama J, Yamaoka N, Miyahara S
Effect of post-ICU follow-up by a rapid response team after congenital heart surgery
Scientific Reports 2022; 12(1): 5633; doi: 10.1038/s41598-022-09683-y
6. Haga T
Characteristics of Patients With Congenital Heart Disease Requiring ICU Admission From Japanese Emergency Departments
Pediatric Critical Care Medicine 2020; 21: e1106-e1112; doi: 10.1097/PCC.0000000000002440
7. Haga T, Kurosawa H, Maruyama J, Sakamoto K, Ikebe R, Tokuhira N, Takeuchi M
The prevalence and characteristics of rapid response systems in hospitals with pediatric intensive care units in Japan and barriers to their use
International Journal for Quality in Health Care 2020; 32: 325-331; doi: 10.1093/intqhc/mzaa040
8. Haga T, Akamine Y, Yamamoto H, Kazuta T, Oba H, Iwata H, Otsuka Y, Ujiro A
Association Between Post-procedure Intracardiac Pressures and the Use of Temporary Epicardial Pacing Wires After Pediatric Cardiac Surgery
Pediatric Cardiology 2020; 41: 366-371; doi: 10.1007/s00246-019-02268-z