飯田 英和 博士研究員

飯田 英和 博士研究員

博士研究員

飯田 英和

Hidekazu Iida, MD, MPH, PhD


[English version]

1985年生まれ。栃木県出身。2009年千葉大学卒業。2014年4月より福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター臨床研究フェロー着任。2014年 京都大学大学院 社会健康医学系専攻 臨床研究者養成コース受講生。2015年ハーバード公衆衛生大学院Principles and Practice of Clinical Research修了。2016年 京都大学大学院 社会健康医学系専攻 医療疫学分野 専門職学位課程修了。その後、祐ホームクリニックで石巻、東京エリアで在宅医療に関わる。2023年3月福島県立医科大学 大学院医学研究科にて医学博士を取得(臨床疫学分野)。2023年4月より千葉大学特任講師に任命され、総合診療、在宅医療に関わりながら、在宅医療の研究、地域での介入研究を行っている。

福島には小学生のころにスキーをしたり、学生時代にゴルフをやっていたので大会で訪れたりしたことがありましたが、今回ふとしたご縁で福島にお世話になることになりました。臨床研究の寺子屋に参加したことがきっかけですが、「臨床」というものを違った視点でみられるのではないかと思い福島フェロー志望し今は卒業しましたがその時の経験は今でも生きています。どうぞ宜しくお願い致します。

【所属学会・資格】
日本内科学会(認定内科医)
日本透析医学会(透析専門医)
日本腎臓学会
日本医師会認定産業医

【研修歴・臨床歴】
2009年 千葉大学医学部附属病院 初期臨床研修
2010年 千葉市立青葉病院 初期臨床研修
2011年 日本赤十字社医療センター 腎臓内科
2012年 北見赤十字病院 内科
2012年 日本赤十字社医療センター 腎臓内科
2017年 祐ホームクリニック石巻
2019年 祐ホームクリニック(東京)


【主な臨床研究】
福島民報で紹介されました。[後期高齢者の高血圧 食塩摂取量と体重 関連. 福島民報. 2019年7月11日 日刊25ページ.]

  1. Yasunaka M, Tsugihashi Y, Hayashi S, Iida H, Hirose M, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    在宅医療患者における期待余命と生活の質および健康関連ホープとの関係性:ZEVIOUS研究
    PLOS ONE 2023; 18: e0295672. doi:10.1371/journal.pone.0295672

    東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の期待余命(どれぐらいの年数を生きるかを担当医が予測したもの)と生活機能、QOL、およびホープとの関係性を横断的に分析しました。生活機能はWHODAS 2.0(高得点ほど機能と障害が悪い)で、QOLはQOL-HC(高得点ほどQOLが高い)で、ホープは健康関連ホープ尺度のドメインスコア(「健康」、「役割とつながり」、「生きがい」:高得点ほど希望が高い)で評価しました。期待余命が短いほどQOLスコアが高くなる一方で、生活機能は低くなることがわかりました。期待余命が短いほど、「生きがい」スコアは低くなる一方で、「役割とつながり」については顕著な違いは示されませんでした。
    長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方・医療法人社団鉄祐会とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主筆は安中正和先生が務められ、次橋幸男先生が加勢しました。主指導教員は、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化でフルコミットしました。

  2. Hayashi S, Shirahige Y, Fujioka S, Tsugihashi Y, Iida H, Hirose M, Yasunaka M, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    在宅医療患者における患者本位の医療とアドバンスケアプランニングとの関係性:ZEVIOUS研究
    Family Practice 2023; 40: 211–217. doi:10.1093/fampra/cmac062

    東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の患者経験(ひらたく言えば、患者さん本位の医療を受けた経験を評価するスコア)アドバンスケアプランニングの参加との関係性を横断的に分析しました。患者経験はプライマリ・ケアの質を反映するJPCAT-SFで評価しました。患者経験が良好であるほど、アドバンスケアプランニングの参加割合が高いことを示しました。患者経験のドメイン別に調べても同様の関係性があることも確認できました。
    医療法人社団鉄祐会・長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化でフルコミットしました。

  3. Tsugihashi Y, Hirose M, Iida H, Hayashi S, Yasunaka M, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    在宅医療患者における要介護度分類の妥当性を日常生活機能・サルコペニアの主観的な指標から検証する:ZEVIOUS研究
    Geriatrics & Gerontology International 2021; 21: 229-237. doi:10.1111/ggi.14124

    東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の要介護度と自己報告による生活機能・身体機能との関係性を横断的に分析しました。生活機能は国際生活機能分類(ICF)を反映するWHODAS2.0で、身体機能はサルコペニアのスクリーニングで用いられるSARC-Fで評価しました。要介護度が高くなるほど、自己報告に基づく生活機能や身体機能のレベルが低下することを示しました。
    長崎在宅Dr.ネット・医療法人社団鉄祐会・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。

  4. Iida H, Fujimoto S, Wakita T, Yanagi M, Suzuki T, Koitabashi K, Yazawa M, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y, Kurita N#. (#corresponding author)
    進行期の慢性腎臓病と透析における心理的柔軟性(アクセプタンス)とうつ発生の関係性
    Kidney Medicine 2020; 2: 684-691.e681. doi:10.1016/j.xkme.2020.07.004

    マインドフルネス領域では、心理学的柔軟性(psychological flexibility)が注目を浴びています。心理学的柔軟性は、病と共に生きる患者が病気の体験をどのように受け入れるか-すなわち受容(acceptance)-を包含する概念といえます。他方で、うつは慢性腎臓病に多く、患者さんにとって重要な健康問題として認識されています。保存期慢性腎臓病と透析の患者において、心理学的柔軟性を測定するAAQ-II(Acceptance and Action Questionnaire-II)が良好であるほど-言い換えると、受容が良好であるほど-、うつの発生が少ないことが明らかにされました。慢性腎臓病患者のうつの予防や治療の手段として、心理学的柔軟性を高めるような行動療法(例えば、acceptance and commitment therapy)が有用である可能性を示唆しました。

  5. Omae K, Kurita N#, Takahashi S, Fukuma S, Yamamoto Y, Fukuhara S, and The Sukagawa Study Group (Collaborators: Iida H, Niihata K, Tominaga R). (#corresponding author)
    AGEs蓄積と過活動膀胱(OAB)の関係性:須賀川研究
    Asian Journal of Urology 2021; 8: 189-196. doi:10.1016/j.ajur.2020.03.004

    終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End-products)が蓄積しているほど、過活動膀胱である可能性が高いか否かを検証した横断研究です。過活動膀胱は、尿意切迫感(突然にトイレに行きたくなって我慢ができない状況)を中心に、頻尿・夜間頻尿・失禁を伴うものです。膀胱組織における終末糖化産物の関与を示唆する先行研究があったにもかかわらず、健常な後期高齢者においては、過活動膀胱との関連性があるとはいえませんでした。ネガティブスタディーは一般的にアクセプトされにくいですが、臨床研究教育推進部の大前先生が辛抱強く研究を続けて出版されました。臨床研究イノベーションセンターが受託している須賀川市の健康長寿事業から生まれた成果です。主指導教員が解析・論文化で参画させていただいたことに、感謝しております。全文お読みいただけます[free-fulltext]。

  6. Iida H*, Kurita N*#, Takahashi S, Sasaki S, Nishiwaki H, Omae K, Yajima N, Fukuma S, Hasegawa T, Fukuhara S. The Sukagawa Study Group (*equally contributed; #corresponding author)
    超高齢者の塩分摂取量・体重過多が高い血圧と関係する:須賀川研究
    The Journal of Clinical Hypertension 2019; 21: 942-949. doi:10.1111/jch.13593

    須賀川市の後期高齢者288名(平均年齢80歳)を対象に、一日食塩摂取量(田中式で推定)、体重と血圧上昇との関連を横断的に調査しました。一日食塩摂取量の平均は9.1g/日でした。食塩摂取量と体重の1標準偏差あたりの増加が、収縮期血圧4.1mmHg および5.3mmHg の上昇と関連しました。体重の1標準偏差あたりの増加が、拡張期血圧2.7mmHg の上昇と関連しました。生活習慣の変容により後期高齢者の血圧を管理できる可能性を示しました。大学院研究生の飯田 英和先生が着想し、主指導教員が解析論文化を指導しました。臨床研究イノベーションセンターのOB・現スタッフの努力の賜物で行うことができた研究です。須賀川市にも還元しうる知見を得ました。皆様のお蔭でありますため、筆頭著者・主指導教員ともにこの機会を頂いたことに大変感謝しております。[※研究成果が、7月11日の 福島民報 日刊に掲載されました。後期高齢者の高血圧 食塩摂取量と体重 関連. 福島民報. 2019年7月11日 日刊25ページ.]

  7. Iida H, Kurita N#, Fujimoto S, Kamijo Y, Ishibashi Y, Fukuma S, Fukuhara S. (#corresponding author)
    International Urology and Nephrology 2018; 50: 763-769. doi:10.1007/s11255-018-1789-x

    自己管理手帳の記載割合と腹膜透析関連感染症の発生との関連性を調べた臨床研究論文です。現場の疑問を温めていた飯田英和先生と、弊分野・臨床研究イノベーションセンターの共同作業で発信できた成果です。主指導教員が研究デザインの立案・解析・論文化の指導に参画しました。

  8. Niihata K*, Takahashi S*, Kurita N#, Yajima N, Omae K, Fukuma S, Okano T, Nomoto Y, Omori K, Fukuhara S. (*Equally contributed; Collaborators: Iida H, Tominaga R; #corresponding author)
    高齢地域住民における終末糖化産物(AGEs)の蓄積と難聴の関係性:須賀川研究
    Journal of the American Medical Directors Association 2018; 19: 235-239.e1. doi:10.1016/j.jamda.2017.09.008

    終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End-products)が蓄積しているほど、聴力障害である可能性が高いことを示した横断研究です。新畑先生と高橋先生がリサーチ・クエスチョンを考案し、主筆されました。臨床研究イノベーションセンターが受託している須賀川市の健康長寿事業から生まれた成果です。主指導教員が解析・論文化で参画させていただいたことに、感謝しております。

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