概要

患者と医師の信頼関係(トラスト)は、対人関係の中でも中心的なものであり、それ自体が重要なものと信じられています。医師への信頼が高い患者は、治療のアドヒアランスが高くなり、適切な予防行動を選ぶようになる可能性が、研究から示されています。
米国では、トラストが古くから医学分野で盛んに研究されていました。トラストが医療におけるコミュニケーション研究の1分野を形成し、医学研究の裾野を広げています。米国でトラストが医学研究の対象となっている背景には、米国における医療制度の急速な変化によって、医療に対する信頼が損なわれたのではないかという懸念があります。
本邦でも、医療におけるトラストの重要性は増しているように思います。協働意思決定(SDM:シェアード・ディシジョン・メイキング)に対する関心の高さや、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う医療供給体制の変化に対する不安は、医療に寄せるトラストに密接に関係しているはずです。

栗田、矢嶋宣幸(昭和大学)、小黒奈緒(昭和大学)、脇田貴文(関西大学)らは、翻訳・逆翻訳の正式な手続きを経て、主治医に対する信頼を測定する尺度の日本語版を2種類作成しました。1つ目は、11項目の改良版Trust in Physician Scaleです(Suzuki R, Yajima N, Oguro N, Wakita T, Kurita N, et al. J Gen Intern Med. 2021)。2つ目は、5項目の短縮版Wake Forest Physician Trust Scale – the Interpersonal Trust in Physician Scaleです(Oguro N, Suzuki R, Yajima N, Wakita T, Kurita N, et al. BMC Health Serv Res. 2021)。

私たちはさらに、医師全般に対する信頼を測定する尺度の日本語版も用意しました。5項目の短縮版Wake Forest Physician Trust Scale – the Trust in Doctors Generally Scaleす(Oguro N, Suzuki R, Yajima N, Wakita T, Kurita N, et al. BMC Health Serv Res. 2021)。

いずれの尺度も、日本語訳作成に求められるプロセスを手順通りに実施し、信頼性・妥当性が検証されています。したがって、世界に発信する臨床研究を目標とする場合に、安心してご活用・引用して頂けます。

以下は、尺度のご利用に関する解説をご覧頂くためのページとなります。

改良版Trust in Physician Scale:主治医(担当医)への信頼尺度のページ

医師の頼もしさ、知識や技術に対する信用、医師と患者の間で交わされる情報の機密性や確からしさの面から、主治医(担当医)の信頼度を測る11項目の尺度です。

短縮版Wake Forest Physician Trust Scale:主治医(担当医)への信頼尺度のページ

能力、正直さ、忠実さ、全般的な信頼の面から、主治医(担当医)の信頼度を測る5項目の尺度です。

短縮版Wake Forest Physician Trust Scale:医師全般への信頼尺度のページ

能力、正直さ、忠実さ、全般的な信頼の面から、医師一般(医師全般)の信頼度を測る5項目の尺度です。