大学院研究生と指導教員で執筆した臨床研究の解説記事が、単行本として出版されます。
腎臓学における臨床研究の統計と解釈に関する解説記事を単行本「ここが知りたい!腎臓病診療ハンドブック」(中外医学社)で執筆させていただく機会を頂きました。腎臓病・膠原病のエキスパートであられる清水英樹先生(船橋市立医療センター 腎臓内科・リウマチ膠原病内科 部長)とのご縁によるものです。
解説記事は、腎疾患に対する新たなパラダイムを提供する「次世代の腎臓病診療」の章の中で、そのまんま「統計」というトピック名で、一番最初に配置されました。
飯田英和, 栗田宜明
第6章 腎臓病診療の将来に必要な視点. 1.統計
ここが知りたい!腎臓病診療ハンドブック. 中外医学社, 東京: 2020; 315-325.
読者層が専攻医あたりと伺っていたので、制約のある文字数の中で何を書くべきか悩みました。自分自身がレジデントだった頃を振り返ってみたり、同じ専門分野であった大学院研究生の飯田先生とディスカッションしてみたり、いろいろと2人で構成を考えました。
最終的に、次のような疑問に答えるべく、自分たちの経験を交えながら執筆しました。
- 臨床統計が活用された論文を探す価値があるのはどんな状況の時で、どう探せば良いのか?
- 臨床統計の結果のどの部分に注目すれば、臨床の意思決定に役立つのか?
- 統計の結果の信憑性を、臨床経験とつき合わせながら吟味するにはどうしたらよいのか?
本の執筆陣には、指導教員が医師としての研鑽を積んでいた時代にお世話になった先生方、現在研究でお世話になっている先生方や、臨床と研究で有名な先生方が沢山いらっしゃいました。
私たちの解説記事が諸先生方の記事の質と量にみあっているか少し心配していますが、専攻医の疑問を少しでも和らげる解説記事として貢献できれば幸いです。
腎臓病診療の将来に必要な視点 1. 統計
0.臨床的な疑問を解決するためにどういった方法を使っていますか?
1.研究の型(デザイン)を理解する
2.効果の指標は何か?効果の大きさはどれぐらいか?
3.観察研究はどれだけ信頼できるか?
–未測定交絡の影響は?
–操作変数を使った解析は未測定交絡も補正できるか?