主指導教員が令和7年度CSA (Clinical Scientist Award)を授賞しました。
概要
(医学的な説明版)
主指導教員の栗田は、「慢性腎臓病の診断・治療・QOLの包括的な向上を目指した臨床疫学研究」を主題に、基礎から応用まで幅広い研究活動を推進してきました。透析患者の心疾患に関する病理疫学研究を出発点に、副甲状腺機能亢進症の国際共同研究や透析患者の予後・QOL改善に向けた多面的な研究を展開し、数多くの成果を発信してきました。
さらに、健康関連ホープ尺度の開発とその臨床応用、尿細管マーカーC-megalinによる早期糖尿病性腎症や腎機能低下の予測、医師への信頼が服薬行動に及ぼす影響の解明など、実臨床に根差したテーマにも取り組み、若手研究者の育成にも尽力しました。こうした活動は、腎臓病医療の質向上と患者中心の医療実現に大きく貢献しており、受賞にふさわしいと評価されました。
(平易な言葉による説明版)
主指導教員の栗田は、慢性腎臓病の診断法や治療法、患者さんの生活の質(QOL)を向上させることを目指して、さまざまな臨床研究を行ってきました。
もともとは透析患者の心臓病に関心を持ち、腎臓病が心臓の病気にも影響を与える可能性を感じて研究を始めました。その後、全国の病院と協力して行われた副甲状腺ホルモンの治療薬に関する大規模研究に参加し、治療薬の効果が患者の病状により異なることを明らかにしました。
さらに、透析患者にとって、活力に関する自己評価が生存率や心臓病のリスクと関係していることを示すなど、日々の診療に役立つ研究を続けました。また、治療への前向きな姿勢を保つ気持ち(ホープ)が薬の飲み方にも関係することを明らかにしました。
最近では、糖尿病患者の腎臓のごく初期の異常をとらえる新しい尿検査の研究や、医師への信頼感が患者の服薬行動にどう影響するかといった心理面の研究にも取り組んでいます。
こうした幅広い研究に加え、若い医師の指導にも力を入れており、将来の研究者を育てています。腎臓病医療の進歩に大きく貢献してきたことが評価され、今回の受賞につながりました。
日本腎臓学会
日本腎臓学会は、1959年(昭和34年)に設立され、腎臓学と関連分野における研究・教育・臨床・啓発・専門医育成など幅広い分野で活動している学術団体です。現在の会員総数は 11,525名です。日本国内における腎臓学の中心的存在として、また国際的にも高い評価を得ています。
賞について
CSA(Clinical Scientist Award)は、日本の腎臓学分野において、ヒトを対象とした臨床研究を牽引する中堅研究者を顕彰するために設けられた賞です。2017年に創設されて以来、毎年1~2名の研究者が選ばれ、その功績が表彰されています。
投稿者プロフィール
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