業績

Shibata Y, Omae K, Minemura H, Suzuki Y, Nikaido T, Tanino Y, Fukuhara A, Kanno R, Saito H, Suzuki S, Ishii T, Inokoshi Y, Sando E, Sakuma H, Kobayashi T, Kume H, Kamimoto M, Aoki H, Takama A, Kamiyama T, Nakayama M, Saito K, Tanigawa K, Sato M, Kanbe T, Kanzaki N, Azuma T, Sakamoto K, Nakamura Y, Otani H, Waragai M, Maeda S, Ishida T, Sugino K, Inage M, Hirama N, Furuyama K, Fukushima S, Saito H, Machiya J-i, Machida H, Abe K, Iwabuchi K, Katagiri Y, Aida Y, Abe Y, Ota T, Ishizawa Y, Tsukada Y, Yamada R, Sato R, Onuma T, Tomita H, Saito M, Watanabe N, Rikimaru M, Kawamata T, Umeda T, Morimoto J, Togawa R, Sato Y, Saito J, Kanazawa K, Kurita N, Iseki K.
軽症/中等症の新型コロナウイルス感染症の重症化予測
BMC Pulmonary Medicine 2023; 23: 312. doi:10.1186/s12890-023-02604-3

呼吸器内科学講座教授の 柴田 陽光 先生が主筆の論文です。軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の重症化を5つの臨床情報から予測するスコアを開発し、外部検証した研究です。65歳未満の方を対象としており、糖尿病、肥満、年齢、体温、酸素飽和度をもとに、重症化予測が可能です(予測スコアの計算はこちらからできます:https://shibatay8.wixsite.com/doats-score--a-simpl/post/doats-score)。幣分野の 栗田 宜明 と臨床研究教育推進部で同僚の大前憲史がご縁をいただき、解析の面から論文化にコミットさせていただきました。ワクチンが普及する前、かつオミクロン変異株の流行前に行われた研究であり、いまの状況でも同じような性能になるのかどうか、さらなる検証が必要です。

Niihata K*, Nishiwaki H*, Kinoshita M, Kurosawa K, Sakuramachi Y, Matsunaga S, Okamura S, Tsujii S, Hayashino Y, Kurita N, and Diabetes Distress and Care Registry at Tenri Study Group. (*co-first authors)
糖尿病患者における尿中C-メガリン濃度と腎機能障害の進行との関係性:コホート研究
Acta Diabetologica 2023; doi:10.1007/s00592-023-02144-6 (in press)
Aita T, Sando E, Katoh S, Hamaguchi S, Fujita H, Kurita N
日本におけるリケッチア感染症の紅斑熱グループと発疹熱グループの血清学的交差反応性
International Journal of Infectious Diseases 2023; 130: 178-181. doi:10.1016/j.ijid.2023.03.012

この研究は、日本紅斑熱(感染症法で四類感染症に指定されています。原因菌はRickettsia japonicaです。)という病気を確定診断された人々の血清が、発疹熱という別の病気の原因菌であるRickettsia typhiの抗体検査に対して交差反応をする頻度を調べたものです。その結果、約20%の症例で交差反応が確認されました。しかし、ペア血清中の両方のIgM/IgG力価を比較することで正確に診断できる症例があり、鑑別困難な症例は全体の5.6%にとどまりました。この研究は、総合内科・臨床感染症学講座の山藤教授がリードしたプロジェクトで、大学院生の會田先生が筆頭著者として参画しました。主指導教員は、主要評価項目の解析や結果の見せ方、論文の書き方で力を注ぎました。[※本研究の成果が、福島民報 日刊に掲載されました。福医大の研究チーム 「日本紅斑熱」患者の抗体の2割 「発疹熱」の抗体と誤認される可能性. 福島民報. 2023年5月17日 日刊3ページ.また、福島民友 日刊に掲載されました。感染症の抗体 誤認恐れ 福島医大発表 日本紅斑熱と発疹熱. 福島民友. 2023年5月18日 日刊19ページ.]

Tominaga R, Kurita N#, Sekiguchi M, Yonemoto K, Kakuma T, Konno S-i. (#corresponding author)
腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールおよび腰部脊柱管狭窄症自己報告型問診票の診断精度
PLOS ONE 2022; 17: e0267892. doi:10.1371/journal.pone.0267892

腰部脊柱管狭窄症(LSS)の診断サポートツールと自己報告型問診票の診断精度を、1657施設の整形外科外来のセッティングで検証し、北米脊椎外科学会(NASS)のLSSの臨床記述と比較しました。診断サポートツールと自己報告型問診票の診断精度は、それぞれ91.3%と83.8%、特異度は76.0%と57.6%であり、感度においてNASSの臨床記述よりも優れました。主指導教員はリサーチ・クエスチョンの明確化・研究デザイン・論文化でコミットしました。本学の整形外科学講座や他大学の先生方との共同成果です。

Nishiwaki H*, Niihata K*, Kinoshita M, Fujimura M, Kurosawa K, Sakuramachi Y, Takano K, Matsunaga S, Okamura S, Kitatani M, Tsujii S, Hayashino Y, Kurita N. (*equally contributed)
糖尿病で持続的な微量アルブミン尿への進展を予測する尿中C-メガリン:コホート研究
Diabetes Research and Clinical Practice 2022; 186: 109810. doi:10.1016/j.diabres.2022.109810

尿中バイオマーカーの1つ、C-megalinが、早期の糖尿病性腎症(微量アルブミン尿の持続)の発症を予測するか否かを検証したコホート研究です。1型糖尿病と2型糖尿病の方752名を対象にしました。尿中C-megalin・クレアチニン比は、尿中アルブミンの量が少ない状態であるほど、微量アルブミン尿の発生との関係性が強くなることが示されました。また、尿中アルブミンに尿中C-megalinを上乗せすることで、持続する微量アルブミン尿の発症予測が改善する可能性も示されました。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化を進めました。メンターのお1人であった林野泰明先生(天理よろづ相談所病院)のご支援や、きっかけを作ってくださった淺沼克彦教授(千葉大学)や福原教授(京都大学)など、多くのご縁のお蔭で第二弾を可視化することができました。[※研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。糖尿病患者、腎臓での合併症 予測に新検査法「有効」. 福島民報. 2022年3月29日 日刊25ページ. また、福島民友に掲載されました。糖尿病性腎症の発症予測 検査方法開発へ 福島医大. 福島民友. 2022年4月1日 日刊3ページ.]

Suzuki R, Yajima N, Sakurai K, Oguro N, Wakita T, Thom DH, Kurita N#. (#corresponding author)
誤診経験と現主治医への信頼との関係性
Journal of General Internal Medicine 2022; 37: 1115-1121. doi:10.1007/s11606-021-06950-y

成人の非感染性疾患(がん、糖尿病、うつ病、心疾患、膠原病)の患者を対象に、患者本人及び、患者家族の誤診経験が現主治医への信頼にどの程度影響をおよぼすのかを調べました。主治医に対する信頼は、今回我々が日本語化した11項目の改良版Trust in Physicians Scaleで評価しました。患者および家族の誤診経験は、現主治医に対する信頼の低下と関連していました(平均差 -4.30点、95%CI -8.12点~-0.49点および-3.20点、95%CI -6.34点~-0.05点)。隠れた信頼低下の原因として、患者本人や家族の誤診体験に着目することの重要性が示唆されました。スタンフォード大学医学部のThom教授との共同研究であり、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田)を受けたTRUMP2-Netプロジェクト (the Trust Measurement for Physicians and Patients - the Net survey) の成果です。[free-fulltext (全文読めます)][※研究成果が、福島民報に掲載されました。患者らの誤診体験 別の医師でも信頼低下. 福島民報. 2021年7月7日 日刊2ページ. また、福島民友に掲載されました。主治医の信頼度数値化 福島医大 患者への質問票開発. 福島民友. 2021年7月7日 日刊3ページ. また、デンマーク患者安全学会が発行するニュースレターでも紹介されました。Fagligt Nyt om patientsikkerhed, Dansk Selskab for Patientsikkerhed.]

Kurita N#, Kinoshita M, Fujimura M, Kurosawa K, Sakuramachi Y, Takano K, Okamura S, Kitatani M, Tsujii S, Norton CE, Hayashino Y. (#corresponding author)
糖尿病における尿中C-メガリンとアルブミン尿・腎機能の関係性:横断研究
Journal of Nephrology 2022; 35: 201–210. doi:10.1007/s40620-021-00995-2

尿中バイオマーカーの1つ、C-megalinが、腎機能やアルブミン尿を反映するか否かを検証した横断研究です。1型糖尿病と2型糖尿病の方1576名を対象にしました。尿中C-megalin濃度と、尿中C-megalin・クレアチニン比はいずれもアルブミン尿の増加とともに上昇することがわかりました。腎機能が保たれているステージに限っては、腎機能が低くなるほど尿中C-megalin濃度の値が高くなる可能性が示されました。C-megalinの臨床的意義については、縦断的な検証が必要です。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化を進めました。メンターのお1人であった林野泰明先生(天理よろづ相談所病院)のご支援や、きっかけを作ってくださった淺沼克彦教授(千葉大学)や福原教授(京都大学)、分析のご助言をくださったNorton教授(ミシガン大学)など、多くのご縁のお蔭で第一弾を可視化することができました。

Kamitani T, Wakita T, Wada O, Mizuno K, Kurita N#. (#corresponding author)
"U-TEST" - 整形外科患者におけるサルコペニアの簡便な診断サポートツール: SPSS-OK研究
British Journal of Nutrition 2021; 126: 1323-1330. doi:10.1017/S0007114521000106

SPSS-OKプロジェクトの第7報目となります。2つの質問と2つの患者属性からサルコペニアを診断するサポートツールを開発して、U-TESTと名づけました (U = Underweight, T = Thinning, E = Elderly, ST = Strength)。京都大学の 紙谷司先生が主筆で、あんしん病院の和田先生、関西大学の 脇田 貴文先生らとともに発信したチームプロダクトです。指導教員の栗田宜明が研究デザインの立案から始めたプロジェクトからの成果であり、解析・論文化までを支援しました。[※研究成果を発表した筆頭演者の紙谷司先生に対して、2022年2月25日に第6回日本栄養・嚥下理学療法研究会学術大会 大会長賞が送られました: 記事URL ]

Kurita N#, Wakita T, Kamitani T, Wada O, Mizuno K. (#corresponding author)
運動器疾患でのサルコペニア拾い上げを目的としたSARC-F質問票の診断精度の検証と、SARC-F+EBM診断法の開発
The Journal of Nutrition, Health & Aging 2019; 23: 732-738. doi:10.1007/s12603-019-1222-x

サルコペニアのスクリーニングで用いられるSARC-F質問票の診断精度を、運動器疾患およそ960人で検証しました。さらに、"EBM"(EldelyとBMI)の追加による診断精度の改善を調べました。感度・特異度は、SARC-F単独では不良でしたが、SARC-F+EBMでは約80%・70%でした。SARC-F単独に比べて、SARC-F+EBMの感度やAUCが優れました。この簡便な"SARC-F+EBM"がスクリーニングに応用できる可能性を示しました。科学研究費補助金の助成を受けて実施した研究です。[free-fulltext (全文読めます)][※研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。加齢や疾患で筋肉量減少 サルコペニアの新診断方法考案. 福島民報. 2019年8月1日 日刊29ページ. また、福島民友に掲載されました。筋力低下に新診断選別法 福島医大 栗田特任教授チーム. 福島民友. 2019年8月11日 日刊4ページ.]