Kurita N, Maeshibu T, Shimizu S, Aita T, Wakita T, Kikuchi H.
BioPsychoSocial Medicine
2025;
19:
26.
doi:10.1186/s13030-025-00347-7
2025年住民の健康/population health内分泌・代謝学/endocrinology & metabolism栄養学/nutrition臨床心理/psychology
日本では「やせ」「太り気味」のどちらにも問題のある食行動が見られ、社会的な課題になっています。今回の研究では、
- 身体イメージのズレ(自分の体型を実際よりも“やせている/太っている”と思い込むこと)
- ヘルスリテラシー(健康情報を理解し、活用する力)
が、食行動にどう影響するのかを調べました。
【研究でわかったこと】
① 体型を正しく認識できているかどうかに関係なく、機能的ヘルスリテラシー(基本的な読み書き・理解力) が高い人は、問題のある食行動をとりにくいことがわかりました。
② “情報をうまく取得する力”や“批判的に考える力”の食行動への影響は、体型の思い込みで変わる:特に、伝達的ヘルスリテラシー(人と相談したり、情報を活用する力) の影響が「身体イメージのズレの種類」で逆転していました。
- 自分を“実際よりやせている”と思っている人 → 伝達的ヘルスリテラシーが高いほど 感情的な食行動をとりやすい
- 自分を“実際より太っている”と思っている人 → 伝達的ヘルスリテラシーが高いほど 感情的な食行動をとりにくい
つまり、同じ“情報をうまく取得する力”でも、「自分の体型認識」がズレている方向によって関係がまったく変わりました。
【何が言えそうなのか?】
基本的なヘルスリテラシーの向上は、誰にとってもプラスではありますが、伝達的・批判的ヘルスリテラシーを伸ばす支援は、身体イメージのタイプに合わせた工夫が必要かもしれないことが示唆されました。
本研究の成果(チームプロダクト)は、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号JP22H03317; 研究代表者:栗田)を受けて得られたものです。
