業績

Yamaguchi T, Takahashi N, Inanaga R, So R, Kikuchi H, Noma H, Sasai H, Kamada K, Sugimoto T, Tsushima H, Ichikawa T, Miyake H, Fujita S, Ono K, Miwa Y, Hasegawa A, Suzuki N, Onishi A, Matsui T, Watanabe R, Hasegawa Y, Ono R, Isozaki T, Ishikawa Y, Yajima N, Kurita N.
JMIR Research Protocols 2025; 14: e78612. doi:10.2196/78612
Aita T, Miyawaki Y, Katayama Y, Sakurai K, Oguro N, Wakita T, Yajima N, Gupta AB, Kurita N
処方エラー、予約エラー、個人情報が他者に聞こえてしまう経験と医師への信頼低下の関係性
Journal of General and Family Medicine 2025; doi:10.1002/jgf2.70086 (in press)

Kurita N, Maeshibu T, Shimizu S, Aita T, Wakita T, Kikuchi H.
BioPsychoSocial Medicine 2025; 19: 26. doi:10.1186/s13030-025-00347-7

日本では「やせ」「太り気味」のどちらにも問題のある食行動が見られ、社会的な課題になっています。今回の研究では、

  • 身体イメージのズレ(自分の体型を実際よりも“やせている/太っている”と思い込むこと)
  • ヘルスリテラシー(健康情報を理解し、活用する力)

が、食行動にどう影響するのかを調べました。

【研究でわかったこと】
① 体型を正しく認識できているかどうかに関係なく、機能的ヘルスリテラシー(基本的な読み書き・理解力) が高い人は、問題のある食行動をとりにくいことがわかりました。

② “情報をうまく取得する力”や“批判的に考える力”の食行動への影響は、体型の思い込みで変わる:特に、伝達的ヘルスリテラシー(人と相談したり、情報を活用する力) の影響が「身体イメージのズレの種類」で逆転していました。

  • 自分を“実際よりやせている”と思っている人 → 伝達的ヘルスリテラシーが高いほど 感情的な食行動をとりやすい
  • 自分を“実際より太っている”と思っている人 → 伝達的ヘルスリテラシーが高いほど 感情的な食行動をとりにくい

つまり、同じ“情報をうまく取得する力”でも、「自分の体型認識」がズレている方向によって関係がまったく変わりました。

【何が言えそうなのか?】
基本的なヘルスリテラシーの向上は、誰にとってもプラスではありますが、伝達的・批判的ヘルスリテラシーを伸ばす支援は、身体イメージのタイプに合わせた工夫が必要かもしれないことが示唆されました。
本研究の成果(チームプロダクト)は、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号JP22H03317; 研究代表者:栗田)を受けて得られたものです。

栗田宜明, 河原崎宏雄, 石橋由孝, 柴垣有吾
腎と透析 2025; 99: 522–529. doi:10.24479/kd.0000002067

腎臓・透析における臨床研究で用いられるPRO (patient reported outcome) とPRE (patient reported experience)に関するコンセプトや使い道、健康関連ホープ尺度について解説しています。

Kurita N, Maeshibu T, Aita T, Wakita T, Kikuchi H.
BioPsychoSocial Medicine 2025; 19: 15. doi:10.1186/s13030-025-00337-9

肥満は個人の生活習慣の問題にとどまらず、社会や行政が取り組む健康政策(パブリックヘルス)においても重要な課題です。私たちの研究では、「やり抜く力(グリット)」と肥満の関係を、日本の成人を対象に調べました。
その結果、グリットが高い人ほど「肥満ではない」傾向があることが分かりました。さらに詳しく分析すると、この関係は「コントロール不能な食べすぎ(制御不能な摂食)」や「感情的な食べすぎ(感情的摂食)」が少ないことを通じて説明できることが明らかになりました。
つまり、グリットと肥満の関連は、グリットが高い人ほど食行動をより適切に保ちやすいことと結びついている、という間接的なメカニズムによる可能性が示唆されました。
この研究は、肥満対策を考える上で「個人の性格そのものに注目する」のではなく、「食行動という具体的な行動に働きかけること」が重要であることを示しています。
科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号JP22H03317; 研究代表者:栗田)を受けた研究の成果(チームプロダクト)です。※本研究は、「食と心の関係」の教育と研究を推進する米国の非営利団体「The Center for Nutritional Psychology(CNP)」のウェブサイトで紹介されました。

Kanakubo Y, Inanaga R, Toida T, Aita T, Ukai M, Kawaji A, Toishi T, Matsunami M, Munakata Y, Suzuki T, Okada T, Kurita N#. (#last author)
Journal of Nephrology 2025; 38: 2273–2283. doi:10.1007/s40620-025-02387-2

「人を中心に据えた医療」や「医師への信頼」が透析患者の服薬アドヒアランスに影響することが経験的に知られていますが、それらがどのように服薬アドヒアランスにつながるのかが明らかではありませんでした。日本の6施設に通院する血液透析患者を分析した結果、「人を中心に据えた医療の質」が高いほど服薬の困難度は少なく、その関連は「医師への信頼」の高さを通じて部分的に媒介されていました。特に質が最も高い群では、服薬アドヒアランスへの影響の約3分の1が「医師への信頼」を介したものでした。本研究は、透析患者の服薬アドヒアランス向上のためには、信頼関係の構築ケアの継続性・ケアの連携を含む多面的な「人を中心に据えた医療アプローチ」が重要であることを示しています。科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号JP19KT0021 および 挑戦的研究(萌芽) 課題番号JP22K19690; 研究代表者:栗田; 基盤研究(C) 課題番号23K16271; 研究代表者:戸井田)を受けた研究の成果(チームプロダクト)です。[※論文はこちらよりご覧頂けます。]

Morishita S, Sada K, Kudo M, Dobashi N, Sasaki S, Yoshimi R, Sakurai N, Hidekawa C, Shimojima Y, Kishida D, Ichikawa T, Miyawaki Y, Hayashi K, Shidahara K, Ishikawa Y, Oguro N, Yajima N, Kurita N, Suganuma N.
Rheumatology (Oxford, England) 2025; 64: 5269–5276. doi:10.1093/rheumatology/keaf288
Ichikawa T, Kishida D, Shimojima Y, Yajima N, Oguro N, Yoshimi R, Sakurai N, Hidekawa C, Sada K, Miyawaki Y, Hayashi K, Shidahara K, Ishikawa Y, Sekijima Y, Kurita N#. (#last author)
ソーシャルネットワーキング時代における全身性エリテマトーデス患者の健康情報源に対する信頼度: TRUMP2-SLE研究
The Journal of Rheumatology 2025; 52: 1005-1012. doi:10.3899/jrheum.2024-1088

全身性エリテマトーデス(SLE)をもつ方々が、どこから健康情報を得ているのか? そして、その情報をどのくらい信頼しているのか? さらに、その“信頼度”に影響を与える背景とは?そんな疑問に迫ったのが、この研究です。最初にアクセスする健康情報源としてはオンライン情報源が最多で、医療機関のWebサイトだけでなく、同じ病をもつ患者さんのブログやSNS(X、Instagramなど)も多くアクセスしていました。しかしながら、SNSを信頼する割合は医師と比べて低いことが判明しました。特に、機能的なヘルスリテラシー(情報を理解し活用する力)が高い人ほど、SNSを信頼せず、医師への信頼が高い傾向がありました。この結果は、患者さんが診察時に持ってくる“情報の出どころ”や“その情報をどれくらい信じているか”が、個々の背景によって異なる可能性を示しています。医療者としては、こうした多様な情報源へのアクセス実態をふまえ、どのように対話し、どのプラットフォームを通じて情報発信するかを考えるヒントになるかもしれません。弊分野の博士研究員でもある、信州大学の市川貴規先生が筆頭の研究論文です。科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた♣️TRUMP2-SLE♠️プロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)の成果です。