
患者さんと医師の間に築かれる「信頼」は、長期的な診療を支える重要な要素です。私たちは、全身性エリテマトーデス(SLE)患者422名とリウマチ医38名を対象に、医師のバーンアウトと患者からみた主治医への信頼との関連を調べました。
その結果、バーンアウトの基準を満たすリウマチ医を主治医とする患者では、主治医への信頼が有意に低いことが分かりました。また、バーンアウトの程度が強いほど、信頼度が低くなることが示されました。
本研究は、患者・医師関係を患者側の要因だけでなく、医師側の「well-being」という視点から捉えた研究です。より良い医療を実現するためには、患者さんへのアプローチだけでなく、医師がより良い状態で診療できる環境について考えることも重要なのかもしれません。
本研究は、科学研究費補助金(JP19KT0021)の助成を受けた♣️TRUMP2-SLE♠️(Trust Measurement for Physicians and Patients with Systemic Lupus Erythematosus)研究の成果です。順天堂大学の津島先生が筆頭著者を務め、昭和医科大学の矢嶋教授の指導のもと実施されました。栗田は研究構想、統計解析、論文の執筆・改訂に携わりました。
腎代替療法(RRT)の選択における家族の関与と協働意思決定[Shared Decision Making(SDM)]の質との関連を、日本全国49施設・475人のステージ5の慢性腎臓病患者を対象に検討しました。その結果、医師のみが意思決定する場合と比べて、患者と医師がともに意思決定に関わる場合、また患者・医師・キーパーソンの三者が関わる場合にSDMの質が有意に高く、特に患者・医師・キーパーソンの三者が関わる場合にスコア差が最も大きくなりました。また、家族がいる患者を対象とした「役割別」分析では、患者が意思決定に関与しない場合と比較して、患者が医師またはキーパーソンからの助言を踏まえて意思決定する場合や、患者が医師またはキーパーソンと協働で意思決定する場合に、SDMの質が有意に高いことが示されました。本研究は、RRT選択における家族の関与は、患者自身の意思決定への参加を伴う場合に、より質の高いSDMと関連することを示唆するものです。
本研究は、科学研究費補助金(JP21K10314)の助成を受けたPREPARES研究(PREference for PAtient REnal replacement therapy and Sharing Study)の成果です。香川大学の國正靖先生が筆頭著者を務め、祖父江先生の指導のもと実施しました。栗田は、研究構想、統計解析、論文の方法・結果の執筆を担当しました。
透析患者において健康関連 QOL(HRQOL)は重要な患者アウトカムであり,疲労や生活への参加が重視されています.本稿では,透析患者の QOL評価法として,包括的尺度である SF-36®v2 と腎疾患特異的尺度であるKDQOL-SFTM を概説し,その特徴と活用上の留意点を整理しました.さらに,J-DOPPS 研究等の知見をもとに,栄養状態や身体機能が QOL と関連することを紹介しました.また,健康関連ホープ(HR-Hope)が食事・水分制限に伴う苦痛の軽減や身体機能の維持と関連する可能性について概説しました.QOL 評価は,患者が望む生活への参加を支援する患者中心の透析医療の実践に重要です.

本研究では、腎代替療法の選択における共同意思決定(Shared Decision-Making: SDM)の根幹となる「患者が自身の価値観を医療者へ伝えること」に着目し、その抵抗感と背景要因を明らかにしました。全国49施設で実施した調査では、約4分の1の患者が私生活や価値観について医療者に話すことへ抵抗を感じており、この抵抗感が強いほどSDMの質が低いことが示されました。さらに、量的・質的データを統合した収斂型混合研究法により、医療者への信頼や健康を優先したいという思いが価値観の開示を後押しする一方で、療法選択への姿勢、性格的特徴などが、価値観を開示できる患者と開示しにくい患者を分ける重要な要因であることが明らかとなりました。
これらの結果から、真に患者中心の腎代替療法選択を実現するためには、医療者が患者一人ひとりの価値観、感情、性格、療法選択への姿勢の多様性を理解し、信頼関係を築きながら意思決定を支援することが重要であることを示しています。本研究は、科学研究費補助金(JP21K10314、JP19KT0021、JP22K19690)の助成を受けたPREPARES研究(PREference for PAtient REnal replacement therapy and Sharing Study)の成果です。栗田が研究構想、量的・質的データの統合解析、および論文執筆を担当し、質的研究の専門家である宮下先生、西村先生と共同で質的データの分析・解釈を行いました。

全国17施設が参加する日本初の小児持続的腎代替療法(jpCRRT)レジストリを、筆頭著者の芳賀先生を中心に構築し、小児集中治療領域における主要腎有害事象(Major Adverse Kidney Events: MAKE)の実態と関連因子を明らかにした研究です。
PICU退室時には50%以上の患児でMAKEを認め、腎疾患・感染症、高い循環作動薬使用量、高カリウム血症が短期予後と関連することを示しました。
本レジストリは、小児CRRTの長期予後の解明やエビデンス創出、治療戦略の最適化を推進する全国共同研究基盤として、今後の発展が期待されます。
本研究では、指導教員の栗田が研究デザイン・解析計画の立案、解析の監督、論文構成および編集を担当し、研究全体を支援しました。

