幣分野ではデザインや解析・論文化の面で学内・外の臨床研究を支援させて頂いております。ここでは、幣分野と連携して実際に臨床研究論文を発信された学外の先生の寄稿をご紹介致します。

研究発信された先生

宮本 雅仁 先生
(横浜第一病院 バスキュラーアクセスセンター, 聖マリアンナ医科大学 腎臓高血圧内科 非常勤講師)

論文タイトル・雑誌名

Miyamoto M, Kurita N, Suemitsu K, Murakami M.
“Fistula and survival outcomes after fistula creation among predialysis chronic kidney disease stage 5 patients”
American Journal of Nephrology 2017; 45: 356-364.
[abstract][紹介記事][Editorial記事]

この研究が明らかにしたこと

本邦の保存期慢性腎臓病(CKD)stage 5の患者を対象とした多施設コホート研究です。自己血管内シャント(AVF)が作製されてから、血液透析(HD)導入前に生じるAVFの機能不全や死亡の発生を調査しました。その結果、透析導入前のAVF不全や死亡の発生は少なく(1年以内に約5%)、HD導入割合が高いこと(1年以内に約90%)を示しました。

この研究は臨床や診療ガイドラインにどのように貢献する可能性があるか

CKD stage 4以前でAVF作製することが稀でない海外では、HD導入前のAVF不全や、AVF未使用での死亡の割合が高いことを問題視する専門家がいます。海外のガイドラインにおいて保存期CKD患者に対するAVF作製時期の推奨がCKD stage 4からstage 5に見直す場合の礎を提供しえたかもしれません。

※論文の出版から3年後にUpToDateに引用され、「腎不全患者の血管アクセスが必要と思われる時期、とくに推算GFRで5-15ml/min/m2のころに、血管アクセス外科医に患者さんを紹介すべき」というUpToDateの著者によるオピニオンの礎となりました。 [Arteriovenous fistula creation for hemodialysis and its complications]。

臨床研究教育推進部との共同作業に関して

研究デザインの何が工夫されたと感じたか

共同作業の開始後に研究・解析デザインのレベルアップ案が提案され、追加調査等をしました。研究デザイン構築の段階から共同作業をお願いすべきと感じました。

論文化の何が工夫されたと感じたか

海外のガイドラインと本邦のガイドラインの比較、さらには本邦のガイドライン下で行われた本研究の診療実態を海外のデータと比較することで、本研究結果の有用性が強調されました。本邦の独自の診療方法をむしろ利点と考えて研究デザインをフォーカスすることが、斬新な工夫と感じました。

共同作業で有用と感じたことや感想は

研究デザインの見直しや、統計解析手法に加え、特に上記の“論文化における工夫”が有用と感じました。有用と思う結果を単に示すだけではなく、結果がなぜ有用であるかの示し方を教授いただいたと感じました。