幣分野ではデザインや解析・論文化の面で学内・外の臨床研究を支援させて頂いております。ここでは、幣分野と連携して実際に臨床研究論文を発信された学内の講座の先生の寄稿をご紹介致します。

研究発信された先生

羽賀 宣博 先生
(泌尿器科学講座 講師 [現 福岡大学医学部 腎泌尿器外科学講座 主任教授])

論文タイトル・雑誌名

Haga N, Kurita N, Yanagida T, Ogawa S, Yabe M, Akaihata H, Hata J, Sato Y, Ishibashi K, Hasegawa O, Kojima Y.
“Effects of Barbed Suture during Robot-assisted Radical Prostatectomy on Postoperative Tissue Damage and Longitudinal Changes in Lower Urinary Tract Outcome”
Surgical Endoscopy 2018; 32: 145-153.
[abstract]

この研究が明らかにしたこと

本研究は、ロボット支援前立腺全摘除術時に行う膀胱尿道吻合において、有棘性吸収糸を用いることによる、尿失禁量・QOLと、尿道および尿道周囲の組織ダメージを評価した研究です。有棘性縫合糸の使用は、モノフィラメント吸収糸の使用と比較して、組織ダメージの増加と関連し、また術後早期の一時的な尿失禁量の増加とQOLの低下と関連しました。

この研究は臨床や診療ガイドラインにどのように貢献する可能性があるか

有棘性縫合糸の使用は、術者には縫合時間の短縮などのメリットをもたらす一方で、患者さんの一時的な失禁量の増加とQOLの悪化をもたらしうる結果となりました。ロボット手術時の膀胱尿道吻合において、その手技に熟達した際には、組織ダメージのより少ないモノフィラメント吸収糸を使用したほうが良いかもしれません。

臨床研究教育推進部との共同作業に関して

共同作業で有用と感じたことや感想は

今回は前向きの観察研究を計画・実行していましたが、サンプルサイズの算出等の疑問点がありました。臨床研究教育推進部の栗田先生との共同作業により、サンプルサイズの算出方法ばかりでなく、統計解析方法、論文作成の過程や、リバイス原稿の修正等まで、非常にたくさん勉強させいていただきました。

これまで論文は一人で執筆していくことがほとんどであり、悪戦苦闘しながら作成していました。今回の共同作業を通じ、臨床研究における論文作成に関し、新たな道標を頂いたように思います。大変感謝しております。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。