林 伸宇 博士研究員

林 伸宇 博士研究員

博士研究員

林 伸宇

Shin-u Hayashi, MD, MPH, PhD


[English version]

1981年生まれ。茨城県出身。2007年千葉大学卒業。東京大学医学部附属病院で初期研修、日本赤十字社医療センターで内科後期研修を修了。その後、内科、在宅医療の臨床に従事しつつ、公衆衛生、医療マネジメント、医療政策を大学院で学ぶ。2023年より福島県立医科大学大学院医学研究科臨床疫学分野大学院研究生。2024年3月福島県立医科大学 大学院医学研究科にて医学博士を取得(臨床疫学分野)。

福島には小学生のころにスキーをしたり、旅行で訪れたりしたことがありました。在宅医療に従事する中で栗田先生と共同研究をさせていただいた御縁で、さらに御指導をいただきたく、研究生になりました。患者さんや御家族にとってよりよい医療が提供できるよう、在宅医療の質を高めることに貢献していきたいと思います。

【所属学会・資格】
日本在宅医療連合学会(在宅専門医、指導医)
日本プライマリ・ケア連合学会(プライマリ・ケア認定医、指導医)
日本糖尿病学会(糖尿病専門医)
日本内科学会(認定内科医)

【研修歴・臨床歴】
2007年 東京大学医学部附属病院
2009年 日本赤十字社医療センター 糖尿病内分泌科
2013年 大森赤十字病院 糖尿病・内分泌内科
2015年 祐ホームクリニック/祐ホームクリニック平和台


【主な臨床研究】

  1. Tsugihashi Y, Yasunaka M, Hayashi S, Iida H, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    在宅医療患者における実際の余命と健康関連ホープとの関係性:ZEVIOUSコホート研究
    Geriatrics & Gerontology International 2025; 25: 124-126. doi:10.1111/ggi.15029

    東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者さんを対象に、人生の最期の期間を追跡した後に、調査開始時点のQOL、およびホープとの関係性を分析しました。QOLはQOL-HC(高得点ほどQOLが高い)で、ホープは健康関連ホープ尺度のドメインスコア(「健康」、「役割とつながり」、「生きがい」:高得点ほど希望が高い)で評価しました。その結果、最後の期間が短い患者ほど、ホープのすべてのサブドメインが低下していました。この結果は、担当医が予測した期待余命とホープの先行研究で、「役割とつながり」というサブドメインが維持されている結果とは相反するものでした。先行研究の結果は、在宅医が希望や感謝を伝える患者さんを診たときに余命がわずかとみなす傾向があることで説明できるかもしれません。もしかすると本研究結果のように患者のホープが失われつつある状況を過小評価している可能性があります。したがって、患者の"真のホープ"の程度を理解するためには、在宅医が継続的な対話を重ねて、たとえ本音をはっきり言わなくても推測する努力が求められているのかもしれません。
    長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方・医療法人社団鉄祐会とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主筆は、次橋幸男先生がが務められました。主指導教員は、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化支援でフルコミットしました。

  2. Iida H, Hayashi S, Yasunaka M, Tsugihashi Y, Hirose M, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    BMJ Open 2025; 15: e089639. doi:10.1136/bmjopen-2024-089639

    東京、奈良、長崎の3地域で在宅医療を受ける患者を対象に、患者経験(ひらたく言えば、患者さん本位の医療を受けた経験を評価するスコア)QOL(生活の質)、および健康関連希望(ホープ)との関係性を横断的に分析しました。患者経験はプライマリ・ケアの質を反映するJPCAT-SFで評価しました。QOLはQOL-HCスケール(高得点ほど生活の質が高い)で評価し、ホープは健康関連ホープ尺度(HR-Hope)の総スコアで評価しました。その結果、患者経験が良好であるほど、QOLおよびホープのスコアが有意に高いことが明らかとなりました。患者経験のドメイン別に調べても同様の関係性があることも確認できました。
    医療法人社団鉄祐会・長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku EValuative Initiatives and OUtcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化でフルコミットしました。

  3. Yasunaka M, Tsugihashi Y, Hayashi S, Iida H, Hirose M, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    在宅医療患者における期待余命と生活の質および健康関連ホープとの関係性:ZEVIOUS研究
    PLOS ONE 2023; 18: e0295672. doi:10.1371/journal.pone.0295672

    東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の期待余命(どれぐらいの年数を生きるかを担当医が予測したもの)と生活機能、QOL、およびホープとの関係性を横断的に分析しました。生活機能はWHODAS 2.0(高得点ほど機能と障害が悪い)で、QOLはQOL-HC(高得点ほどQOLが高い)で、ホープは健康関連ホープ尺度のドメインスコア(「健康」、「役割とつながり」、「生きがい」:高得点ほど希望が高い)で評価しました。期待余命が短いほどQOLスコアが高くなる一方で、生活機能は低くなることがわかりました。期待余命が短いほど、「生きがい」スコアは低くなる一方で、「役割とつながり」については顕著な違いは示されませんでした。
    長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方・医療法人社団鉄祐会とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主筆は安中正和先生が務められ、次橋幸男先生が加勢しました。主指導教員は、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化でフルコミットしました。

  4. Hayashi S, Shirahige Y, Fujioka S, Tsugihashi Y, Iida H, Hirose M, Yasunaka M, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    在宅医療患者における患者本位の医療とアドバンスケアプランニングとの関係性:ZEVIOUS研究
    Family Practice 2023; 40: 211–217. doi:10.1093/fampra/cmac062

    東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の患者経験(ひらたく言えば、患者さん本位の医療を受けた経験を評価するスコア)アドバンスケアプランニングの参加との関係性を横断的に分析しました。患者経験はプライマリ・ケアの質を反映するJPCAT-SFで評価しました。患者経験が良好であるほど、アドバンスケアプランニングの参加割合が高いことを示しました。患者経験のドメイン別に調べても同様の関係性があることも確認できました。
    医療法人社団鉄祐会・長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化でフルコミットしました。

  5. Tsugihashi Y, Hirose M, Iida H, Hayashi S, Yasunaka M, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
    在宅医療患者における要介護度分類の妥当性を日常生活機能・サルコペニアの主観的な指標から検証する:ZEVIOUS研究
    Geriatrics & Gerontology International 2021; 21: 229-237. doi:10.1111/ggi.14124

    東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の要介護度と自己報告による生活機能・身体機能との関係性を横断的に分析しました。生活機能は国際生活機能分類(ICF)を反映するWHODAS2.0で、身体機能はサルコペニアのスクリーニングで用いられるSARC-Fで評価しました。要介護度が高くなるほど、自己報告に基づく生活機能や身体機能のレベルが低下することを示しました。
    長崎在宅Dr.ネット・医療法人社団鉄祐会・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。

  1. Miyashita J, Hayashi S, Yamamoto Y.
    Association between direct interpersonal involvement with a dying family member and discussions regarding advance care planning among Japanese older adults.
    Geriatr Gerontol Int 2021; 21(2): 197-202.
  2. Imai H, Furukawa TA, Hayashi S, Goto A, Izumi K, Hayashino Y, Noda M.
    Risk perception, self-efficacy, trust for physician, depression, and behavior modification in diabetic patients.
    J Health Psychol 2020; 25(3): 350-360.
  3. Kojima Y, Kaga H, Hayashi S, Kitazawa T, Iimura Y, Ohno M, Yoshitsugu M, Fujiwara M, Hiyoshi T.
    Comparison between sitagliptin and nateglinide on postprandial lipid levels: The STANDARD study.
    World J Diabetes 2013; 4(1): 8-13.