私たちは、成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、健康関連ホープ尺度(HR-Hope)/うつとサルコペニアの関係性を長期的に分析しました。その結果、HR-Hopeスコアが低いほど、サルコペニアになる可能性が示されました。さらに、抑うつを抱えることも、独立した要因としてサルコペニアを引き起こす可能性があることがわかりました。この研究は、ヨーロッパ臨床栄養・代謝学会(ESPEN)とヨーロッパ腎臓学会・ヨーロッパ腎栄養グループ(ERN-ERA)によってまとめられた、高齢のCKD患者向けのタンパク質・エネルギー摂取量の指針とするためのレビュー論文(Piccoli GB et al. Clinical Nutrition 2023)に引用されました。
この研究は、科学研究費補助金の助成を受けて実施されたものです(基盤研究(B) 課題番号16H05216, 研究代表者:柴垣有吾, 研究分担者:福原 脇田 栗田; 若手研究 課題番号18K17970)。
うつ/depression
Kurita N#, Wakita T, Fujimoto S, Yanagi M, Koitabashi K, Suzuki T, Yazawa M, Kawarazaki H, Shibagaki Y, Ishibashi Y. (#corresponding author)
ホープレス(絶望感)とうつが進行期慢性腎臓病と透析患者のサルコペニアを予測する:多施設コホート研究
The Journal of Nutrition, Health & Aging
2021;
25:
593-599.
doi:10.1007/s12603-020-1556-4
Iida H, Fujimoto S, Wakita T, Yanagi M, Suzuki T, Koitabashi K, Yazawa M, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y, Kurita N#. (#corresponding author)
進行期の慢性腎臓病と透析における心理的柔軟性(アクセプタンス)とうつ発生の関係性
Kidney Medicine
2020;
2:
684-691.e681.
doi:10.1016/j.xkme.2020.07.004
マインドフルネス領域では、心理学的柔軟性(psychological flexibility)が注目を浴びています。心理学的柔軟性は、病と共に生きる患者が病気の体験をどのように受け入れるか-すなわち受容(acceptance)-を包含する概念といえます。他方で、うつは慢性腎臓病に多く、患者さんにとって重要な健康問題として認識されています。保存期慢性腎臓病と透析の患者において、心理学的柔軟性を測定するAAQ-II(Acceptance and Action Questionnaire-II)が良好であるほど-言い換えると、受容が良好であるほど-、うつの発生が少ないことが明らかにされました。慢性腎臓病患者のうつの予防や治療の手段として、心理学的柔軟性を高めるような行動療法(例えば、acceptance and commitment therapy)が有用である可能性を示唆しました。
Kurita N, Yamazaki S, Fukumori N, Otoshi K, Otani K, Sekiguchi M, Onishi Y, Takegami M, Ono R, Horie S, Konno S, Kikuchi S, Fukuhara S
地域在住の成人では、過活動膀胱の症状の程度は転倒に関連する:LOHAS研究
BMJ open
2013;
3:
e002413.
doi:10.1136/bmjopen-2012-002413
[
海外学会誌紹介記事 ]
過活動性膀胱(かかつどうぼうこう)と転倒の関係性を分析した横断研究です。過活動膀胱は、尿意切迫感(突然にトイレに行きたくなって我慢ができない状況)を中心に、頻尿・夜間頻尿・失禁を伴うものです。過活動性膀胱の症状が重症であるほど、転倒との関連が強くなることを明らかにしました。福島県只見町・南会津町の地域住民(40歳以上、平均68歳)が対象となっています。平成20年より実施されているLOHAS研究からの成果で、京都大学医療疫学分野の福原教授、本学整形外科学講座の菊地先生・紺野教授、順天堂大学泌尿器科学講座の堀江教授のご縁で研究をさせていただくことができました。米国泌尿器科学会の医学誌で紹介されました。[海外学会誌紹介記事]


