戸井田 達典 博士研究員
博士研究員
戸井田 達典
Tatsunori Toida, MD, PhD
1980年生まれ。宮崎県出身。2005年北里大学卒。2017年宮崎大学大学院医学部医学系研究科博士課程修了。現職は九州保健福祉大学薬学部薬学科准教授。2022年4月福島県立医科大学 大学院医学研究科 臨床疫学分野に博士研究員として参画。
[所属学会・専門医]
日本内科学会(認定医・総合内科専門医)
日本腎臓学会(腎臓専門医・指導医)
日本透析医学会(透析専門医・指導医)
日本医師会認定産業医
American Society of Nephrology
[ 研修歴・臨床歴 ]
2005年 宮崎大学医学部附属病院 初期臨床研修
2007年 宮崎大学医学部 第一内科 入局
2009年 泉和会千代田病院腎臓内科
2011年 宮崎大学医学部附属病院血液浄化療法部
2014年 宮崎大学医学部血液・血管先端医療学講座 兼 宮崎県立延岡病院内科
2022年 九州保健福祉大学薬学部薬学科
【主な臨床研究】
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Yamamoto S*, Niihata K*, Toida T*, Abe M, Hanafusa N, Kurita N# (*co-first authors; #last author).維持透析療法の継続年数とフレイル(虚弱)・寝たきりの関係性:日本における全国規模横断研究American Journal of Kidney Diseases 2024; 84: 601-612. doi:10.1053/j.ajkd.2024.04.012
日本で透析療法を受けている50歳以上の患者22万7136名を対象に分析した横断研究です。透析療法の期間が長いほど、フレイルの有病率や寝たきりの有病率が高くなることが明らかとなりました。これは様々な共変量で補正しても同様でした。新潟大学の山本卓病院教授が主筆で、博士研究員の新畑先生・戸井田先生が解析論文化にコミットしました。主指導教員の栗田はリサーチ・クエスチョンの発案から解析論文化まで山本教授と進めて参りました。切実なリサーチ・クエスチョンであれば横断研究でも伝統ある雑誌に掲載されるという実例を皆で示し、金字塔を打ち立てることができました。[※研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。透析患者の治療期間が長期化するほど…「フレイル」・寝たきり 発症高まる. 福島民報. 2024年6月21日 日刊21ページ. また、研究成果が、福島民友 日刊に掲載されました。透析長期化と寝たきり関連 福島医大栗田氏ら 有病率増加を確認. 福島民友. 2024年6月21日 日刊3ページ. また、研究成果が、読売新聞 オンライン版に掲載されました。透析治療が長くなると寝たきり・フレイルになる頻度高く…九州医療科学大准教授「健康寿命延ばしたい」. 読売新聞. 2024年月30日 オンライン. また、研究成果が、毎日新聞 日刊 および オンライン版に掲載されました。長期透析►►►寝たきり高頻度 フレイルの有病率増 手指しびれなど傾向も. 毎日新聞. 2024年10月1日 日刊15ページ. 透析30年以上で寝たきりの割合増 九州医療科学大グループが研究. 毎日新聞. 2024年9月30日 オンライン. ]
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Joki N*, Toida T*, Nakata K, Abe M, Hanafusa N, Kurita N. (*co-first authors)血液透析患者の心房細動と虚血性脳卒中の発生の関連性に動脈硬化性疾患が及ぼす影響の評価Scientific Reports 2024; 14: 1330. doi:10.1038/s41598-024-51439-3
血液透析を受ける患者の動脈硬化性疾患の数が心房細動と虚血性脳卒中の発症との関連を修飾するかどうかを検討しました。15万1350人が分析対象となり、心房細動の有病率は6.5%であり、2019年から2020年の間に対象者全体のうちの3.2%が虚血性脳卒中を発症しました。虚血性脳卒中に対する心房細動の調整オッズ比は1.5でしたが、動脈硬化性疾患の増加とともにオッズ比が減少傾向を示すエビデンスは明確ではありませんでした。主指導教員は、博士研究員とともに研究計画の明確化と解析にコミットしました。
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Inanaga R, Toida T, Aita T, Kanakubo Y, Ukai M, Toishi T, Kawaji A, Matsunami M, Okada T, Munakata Y, Suzuki T, Kurita N#. (#corresponding author)血液透析患者における医師への信頼、多次元ヘルスリテラシー、服薬アドヒアランスの関係性Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2024; 19: 463-471. doi:10.2215/CJN.0000000000000392
日本の血液透析患者を対象に質問紙調査を行い、健康に関する情報を入手して適切に活用する力(ヘルスリテラシー)が服薬を指示通りに続ける程度(服薬の遵守度)にどのように影響するか、またこの影響が医師への信頼度によってどのように中継されるかを調査しました。
その結果、機能的なヘルスリテラシーと伝達的なヘルスリテラシーは、服薬の遵守度と良い関係があることが分かりましたが、批判的なヘルスリテラシーが高いと服薬の遵守度が低下する傾向がありました。さらに、これらのヘルスリテラシーと服薬の遵守度の関係は、医師への信頼によって中継される可能性が示されました。言いかえると、健康情報を理解する力が高いほど、服薬の遵守度が高くなりますが、これは医師の治療の説明などに対する信頼が役割を果たしており、信頼するほど医師の指示通りに服薬を続けられる傾向があるという考えを、研究が支持しました。
この結果から、血液透析患者の服薬の遵守度を向上させるためには、適切なヘルスリテラシーに対応したアプローチだけでなく、医師との信頼関係の構築も重要であることが確認できました。[※研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。福島医大 人工透析患者の服薬行動調査 効用に懐疑で中断の傾向 稲永医師、栗田特任教授のチーム. 福島民報. 2024年1月31日 日刊21ページ. また、研究成果が、福島民友 日刊に掲載されました。医療情報 積極収集する患者 服薬順守度高く 福島医大の稲永医師ら調査. 福島民友. 2024年1月31日 日刊19ページ.]
- Toida T, Toida R, Takahashi R, Uezono S, Komatsu H, Sato Y, Fujimoto S. Impact of polypharmacy on all-cause mortality and hospitalization in incident hemodialysis patients: a cohort study. Clin Exp Nephrol. 2021, 5(11):1215-1223.
- Toida T, Toida R, Ebihara S, Takahashi R, Komatsu H, Uezono S, Sato Y, Fujimoto S. Association between serum zinc levels and clinical index or the body composition in incident hemodialysis patients. Nutrients. 2021, 12(10):3187.
- Toida T, Sato Y, Ogata S, Wada A, Masakane I, Fujimoto S. Synergic impact of body mass index, diabetes, and age on long-term mortality in Japanese incident hemodialysis patients: a cohort study on a large national dialysis registry. J Ren Nutr. 2020, 30(4):333-340.
- Toida T, Toida R, Yamashita R, Komiya N, Uezono S, Komatsu H, Ishikawa T, Kitamura K, Sato Y, Fujimoto S. Grading of left ventricular diastolic dysfunction with preserved systolic function by the 2016 American society of echocardiography/European association of cardiovascular imaging recommendations contributes to predicting cardiovascular events in hemodialysis patients. Cardiorenal Med. 2019, 9(3):190-200.
- Toida T, Sato Y, Komatsu H, Kitamura K, Fujimoto S. Pre- and post-dialysis uric acid difference and risk of long-term all-cause and cardiovascular mortalities in Japanese hemodialysis patients; Miyazaki dialysis cohort study. Blood Purif. 2019;47 Suppl 2:50-55.
- Sato Y, Toida T, Nakagawa H, Iwakiri T, Nishizono R, Kikuchi M, Fujimoto S. Diminishing dry weight is strongly associated with all-cause mortality among long-term maintenance prevalent dialysis patients. PLoS One. 2018, 27;13(8): e0203060.
- Toida T, Iwakiri T, Sato Y, Komatsu H, Kitamura K, Fujimoto S. Relationship between hemoglobin levels corrected by interdialytic weight gain and mortality in Japanese hemodialysis patients: Miyazaki dialysis cohort study. PLoS One. 2017, 12(1): e0169117.
- Sato Y, Fujimoto S, Toida T, Nakagawa H, Yamashita Y, Iwakiri T, Fukuda A, Iwatsubo S. Apoprotein B/Apoprotein A-1 ratio and mortality among prevalent dialysis patients. Clin J Am Soc Nephrol. 2016, 11(5):840-6.