業績
透析療法を受ける方、特に高齢の方では、「長く生きること」だけでなく、「自分で生活できること」や「疲れにくく過ごせること」を大切にされる場合があります。
このような価値観が重視されるなかでも、透析期間の長期化がフレイル(虚弱)や寝たきりの進行とどのように関連するのか、またベースライン時の身体機能状態が長期予後にどのような影響を与えるのかについては、十分に明らかになっていませんでした。
そこで本研究では、日本透析医学会レジストリ(JRDR)を用いて、約22万人の維持血液透析を受ける方を8年間追跡し、身体機能の変化を検討しました。
その結果、8年後には59.9%がお亡くなりになり、8.8%がフレイル、2.4%が寝たきりとなっていました。
また、透析歴が長い方ほど、その後のフレイル、寝たきり、死亡のリスクが段階的に高くなる「用量依存的な関連」が認められました。
さらに、ベースラインで寝たきりだった方は、非フレイルの方と比べて死亡リスクが16倍以上高くなっていました。
死因にも特徴がみられ、非フレイルの方では脳血管障害や心筋梗塞による死亡が比較的多かった一方、フレイルや寝たきりの方では、感染症や心不全による死亡が多くみられました。
一方で、ベースラインで非フレイルだった方でも、8年後に「非フレイルのまま生存」していた割合は約40%に留まっていました。
これらの結果は、透析導入後の長期経過を見据えながら、早い段階からご本人の価値観を共有し、「どのように生活したいか」を含めた人生設計や個別化ケアについて対話していく必要性を示唆しています。
本研究では、腹膜透析患者における血清マグネシウム低値の頻度と、その関連因子を明らかにし、さらに血清マグネシウムと心房細動との関係を検討しました。
血清マグネシウム値が 1.5 mg/dL以下であった割合は、
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腹膜透析単独:6.2%
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血液透析との併用療法:3.6%
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血液透析:0.5%
と、腹膜透析患者で高いことが分かりました。
また、血清マグネシウム低値は心房細動の有病と強く関連しており、調整後オッズ比では約3倍の関連が認められました。
さらに、
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残腎機能が高いこと
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1日あたりの透析液使用量が多いこと
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腹膜平衡試験(PET)における D/P 比が高いこと
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アイコデキストリンの使用
が、血清マグネシウム低値と関連していました。ただし、この知見は横断研究のデザインに基づくため、さらなる因果関係の検証が必要です。
本研究は、東邦大学 常喜教授とともに研究課題を発案し、同大学の中田先生、博士研究員の戸井田先生、および主指導教員が解析・論文化に携わりました [※論文の詳細は こちら よりご覧いただけます]。
南会津・只見町の65歳以上の地域住民を対象にした研究です。1732名を分析した結果、EAT-10で評価した嚥下障害に対して、握力の低さと、動的なバランス機能の低下を反映するTimed Up and Goの測定時間が関連しました。筆頭著者は、リハビリテーション医学講座の佐藤先生です。主指導教員は、博士研究員の富永先生とともに、リサーチ・クエスチョンの明確化と解析論文化のサポートでコミットしました。

SPSS-OKプロジェクトの第8報目となります。腰部脊柱管狭窄症およそ500名を分析した研究です。バイオインピーダンス測定で得られる位相角(PhA)が高いほど、腰痛に伴う機能障害は少ないことを示しました。この関係性は、腰痛・下肢痛・下肢のしびれ・脂肪量・筋肉量と独立していました。腰痛に伴う機能障害は、Oswestry Disability Index(ODI)によって評価されました。主指導教員が研究デザインの立案・解析・論文化を支援しました。あんしん病院の理学療法士で院長補佐の和田先生や整形外科の先生方、京都大学の 紙谷司先生、筑波大学の山田実教授との共同研究でもあり、このご縁をいただいたことと、プロジェクトの支援をして頂いている皆様に感謝しております。科学研究費補助金の助成を受けて実施した研究です。





