Association of Formal and Informal Advance Care Planning with Multidimensional Health Literacy in Patients Undergoing Hemodialysis
血液透析を受けている患者さんにとって、将来の病状の変化があった場合の治療方針について、あらかじめ自分の意向を考え、家族や医療者と話し合っておくことは重要です。こうした将来の医療やケアについての話し合いは「アドバンスケアプランニング(Advance Care Planning:ACP)」と呼ばれています。
一方で、ACPに参加するためには、病気や治療について情報を理解するだけでなく、その情報をもとに自分で考え、必要な情報を探したり、医療者と話し合ったりする力も必要です。
私たちは、このようなヘルスリテラシー(健康に関する情報を入手・理解し、判断や行動に活用する力)が、透析患者さんのACPへの参加とどのように関係しているのかを調べました。
日本の6施設で血液透析を受けている成人患者を対象に調査したところ、約半数の患者さんが、家族や医療者と将来の治療やケアについて何らかの話し合いをしていました。一方で、医療者を交えた正式なACPの機会を経験していた患者さんは5%にとどまりました。
興味深いことに、自分で情報を吟味し、考え、判断する「批判的ヘルスリテラシー」が高い患者さんほど、日常的なACPに参加していることが分かりました。一方、ヘルスリテラシー全体が高い患者さんでは、正式なACPへの参加も多いことが示されました。また、将来どのような治療を受けたいのか「まだ決められていない」と答えた患者さんでは、ヘルスリテラシーが低い傾向がみられました。
さらに、ACPについて話し合っていない患者さんに、その理由を尋ねたところ、最も多かったのは「話し合う機会がないから」という回答でした。つまり、ACPが進まない理由は、患者さん自身が関心を持っていないことだけではなく、そもそも患者さんが将来について考え、医療者と話し合うための「きっかけ」が十分に提供されていない可能性があります。
これらの結果から、透析医療における患者中心の意思決定を進めるためには、患者さんのヘルスリテラシーを高める取り組むことと、医療者側からACPについて話し合う機会を体系的に提供することが重要であると考えられます。患者さんが「自分はどうしたいのか」を考え、それを家族や医療者と共有できる環境をつくることが、より患者中心の透析医療につながる可能性があります。

