鈴木 智 博士研究員

鈴木 智 博士研究員

博士研究員

鈴木 智

Tomo Suzuki, MD, PhD


1981年生まれ。東京都出身。2006年聖マリアンナ医科大学卒業。2016年聖マリアンナ医科大学医学研究科博士課程修了。現職は亀田総合病院腎臓高血圧内科部長。その他聖マリアンナ医科大学腎臓高血圧内科非常勤講師を併任。2022年10月福島県立医科大学大学院研究科臨床系学分野に博士研究員として参画。
腎臓内科の腎炎腎病理を中心として、腎病理から臨床への還元を目指してきました。その他にも、高血圧、血液透析、腹膜透析、腎移植と幅広く臨床医として診療しております。
https://researchmap.jp/suzukitomo0813

[所属学会・専門医]
日本内科学会(認定医・総合内科専門医・指導医)
日本腎臓学会(専門医・指導医)
日本透析医学会(専門医)
日本アフェレシス学会(認定血漿交換療法専門医)
日本臨床腎移植学会(腎移植認定医)
日本高血圧学会
日本リウマチ学会
日本人類遺伝学会

[ 研修歴・臨床歴 ]
2006年 4月 東京大学附属病院 初期臨床研修医
2007年 4月 佐久市立国保浅間総合病院 初期臨床研修医
2008年 4月 亀田総合病院 腎臓高血圧内科 後期研修医
2011年 4月 千葉東病院 アレルギー科 医員
2012年 4月 聖マリアンナ医科大学病院 任期付助教
2012年 8月 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 任期付助教
2013年 4月 稲城市立病院 腎臓内科 医員
2014年 4月 筑波大学 腎血管病理学 特別研究学生
2016年 4月 聖マリアンナ医科大学病院 助教
2018年10月 亀田総合病院 腎臓高血圧内科 部長


【主な臨床研究】

  1. Kurita N, Wakita T, Fujimoto S, Yanagi M, Koitabashi K, Yazawa M, Suzuki T, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y.
    慢性腎臓病および透析において健康関連ホープが水分制限・食事制限に伴う苦痛におよぼす影響
    BMC Nephrology 2024; 25: 362. doi:10.1186/s12882-024-03818-1

    成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、健康関連ホープ尺度(HR-Hope)と水分制限・食事制限による苦痛との関係を縦断的に分析しました。その結果、HR-Hopeスコアが高い患者ほど、1年後に水分制限や食事制限に対する負担感が有意に軽減されることが示されました。これは、CKDにおける食事療法のアドヒアランスを妨げる心理的苦痛が、患者がどの程度健康に対するホープを持っているかに依存する可能性を示唆しています。本研究は日本学術振興会(JSPS)の科学研究費補助金の助成を受けて実施されました。

  2. Kanakubo Y, Kurita N#, Ukai M, Aita T, Inanaga R, Kawaji A, Toishi T, Matsunami M, Munakata Y, Suzuki T, Okada T. (#corresponding author)
    血液透析における人を中心に据えた医療の質とアドバンスケアプランニングへの参加との関連性
    BMJ Supportive & Palliative Care 2024; doi:10.1136/spcare-2024-004831 (in press)

  3. Inanaga R, Toida T, Aita T, Kanakubo Y, Ukai M, Toishi T, Kawaji A, Matsunami M, Okada T, Munakata Y, Suzuki T, Kurita N#. (#corresponding author)
    血液透析患者における医師への信頼、多次元ヘルスリテラシー、服薬アドヒアランスの関係性
    Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2024; 19: 463-471. doi:10.2215/CJN.0000000000000392

    日本の血液透析患者を対象に質問紙調査を行い、健康に関する情報を入手して適切に活用する力(ヘルスリテラシー)が服薬を指示通りに続ける程度(服薬の遵守度)にどのように影響するか、またこの影響が医師への信頼度によってどのように中継されるかを調査しました。

    その結果、機能的なヘルスリテラシーと伝達的なヘルスリテラシーは、服薬の遵守度と良い関係があることが分かりましたが、批判的なヘルスリテラシーが高いと服薬の遵守度が低下する傾向がありました。さらに、これらのヘルスリテラシーと服薬の遵守度の関係は、医師への信頼によって中継される可能性が示されました。言いかえると、健康情報を理解する力が高いほど、服薬の遵守度が高くなりますが、これは医師の治療の説明などに対する信頼が役割を果たしており、信頼するほど医師の指示通りに服薬を続けられる傾向があるという考えを、研究が支持しました。
    この結果から、血液透析患者の服薬の遵守度を向上させるためには、適切なヘルスリテラシーに対応したアプローチだけでなく、医師との信頼関係の構築も重要であることが確認できました。[※研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。福島医大 人工透析患者の服薬行動調査 効用に懐疑で中断の傾向 稲永医師、栗田特任教授のチーム. 福島民報. 2024年1月31日 日刊21ページ. また、研究成果が、福島民友 日刊に掲載されました。医療情報 積極収集する患者 服薬順守度高く 福島医大の稲永医師ら調査. 福島民友. 2024年1月31日 日刊19ページ.]

  4. Wada T, Ishimoto T, Nakaya I, Kawaguchi T, Sofue T, Shimizu S, Kurita N, Sasaki S, Nishiwaki H, Koizumi M, Saito S, Nishibori N, Oe Y, Yoshida M, Miyaoka Y, Akiyama S, Itano Y, Okazaki M, Ozeki T, Ichikawa D, Oguchi H, Kohsaka S, Kosaka S, Kataoka Y, Shima H, Shirai S, Sugiyama K, Suzuki T, Son D, Tanaka T, Nango E, Niihata K, Nishijima Y, Nozu K, Hasegawa M, Miyata R, Yazawa M, Yamamoto Y, Yamamoto R, Shibagaki Y, Furuichi K, Okada H, Narita I, and Committee of Clinical Practical Guideline for Nephrotic, Syndrome.
    Clinical and Experimental Nephrology 2021; 25: 1277-1285. doi:10.1007/s10157-021-02098-5
  5. Kurita N#, Wakita T, Fujimoto S, Yanagi M, Koitabashi K, Suzuki T, Yazawa M, Kawarazaki H, Shibagaki Y, Ishibashi Y. (#corresponding author)
    ホープレス(絶望感)とうつが進行期慢性腎臓病と透析患者のサルコペニアを予測する:多施設コホート研究
    The Journal of Nutrition, Health & Aging 2021; 25: 593-599. doi:10.1007/s12603-020-1556-4

    私たちは、成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、健康関連ホープ尺度(HR-Hope)/うつとサルコペニアの関係性を長期的に分析しました。その結果、HR-Hopeスコアが低いほど、サルコペニアになる可能性が示されました。さらに、抑うつを抱えることも、独立した要因としてサルコペニアを引き起こす可能性があることがわかりました。この研究は、ヨーロッパ臨床栄養・代謝学会(ESPEN)ヨーロッパ腎臓学会・ヨーロッパ腎栄養グループ(ERN-ERA)によってまとめられた、高齢のCKD患者向けのタンパク質・エネルギー摂取量の指針とするためのレビュー論文(Piccoli GB et al. Clinical Nutrition 2023)に引用されました。
    この研究は、科学研究費補助金の助成を受けて実施されたものです(基盤研究(B) 課題番号16H05216, 研究代表者:柴垣有吾, 研究分担者:福原 脇田 栗田; 若手研究 課題番号18K17970)。

  6. Kurita N#, Wakita T, Ishibashi Y, Fujimoto S, Yazawa M, Suzuki T, Koitabashi K, Yanagi M, Kawarazaki H, Green J, Fukuhara S, Shibagaki Y. (#corresponding author)
    慢性腎臓病患者における健康関連ホープと治療のアドヒアランスとの関係性:多施設横断研究
    BMC Nephrology 2020; 21: 453. doi:10.1186/s12882-020-02120-0

    成人の慢性腎臓病(CKD)の病期(ステージ)と健康関連ホープ尺度(HR-Hope)との関係性、およびHR-Hopeとアドヒアランスの負担感・身体指標との関係性を横断的に分析しました。HR-Hopeスコアが高いほど、水分制限・食事制限の負担感が軽く、収縮期血圧が高くないことがわかりました。HR-Hopeスコアは、保存期ステージ5の参加者で最も低く、ステージ5DのHR-Hopeスコアはステージ4と同程度でした。
    CKDの治療アドヒアランスは、健康に関連するホープをどの程度持っているかに依存しており、そのホープはCKDの病期によって異なる可能性があることを示しました。
    科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号16H05216; 研究代表者:柴垣有吾; 研究分担者:福原 脇田 栗田)を受けて実施した研究です。のちに、腎代替療法についての選択肢を患者さんが理解するための対話法に関するトピックを掲載している米国NPOのウェブサイト記事の中で、本研究論文が引用されました[米国Home Dialysis Central:How to Talk to Patients About Home Dialysis: Four Steps for Professionals]。

  7. Iida H, Fujimoto S, Wakita T, Yanagi M, Suzuki T, Koitabashi K, Yazawa M, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y, Kurita N#. (#corresponding author)
    進行期の慢性腎臓病と透析における心理的柔軟性(アクセプタンス)とうつ発生の関係性
    Kidney Medicine 2020; 2: 684-691.e681. doi:10.1016/j.xkme.2020.07.004

    マインドフルネス領域では、心理学的柔軟性(psychological flexibility)が注目を浴びています。心理学的柔軟性は、病と共に生きる患者が病気の体験をどのように受け入れるか-すなわち受容(acceptance)-を包含する概念といえます。他方で、うつは慢性腎臓病に多く、患者さんにとって重要な健康問題として認識されています。保存期慢性腎臓病と透析の患者において、心理学的柔軟性を測定するAAQ-II(Acceptance and Action Questionnaire-II)が良好であるほど-言い換えると、受容が良好であるほど-、うつの発生が少ないことが明らかにされました。慢性腎臓病患者のうつの予防や治療の手段として、心理学的柔軟性を高めるような行動療法(例えば、acceptance and commitment therapy)が有用である可能性を示唆しました。

  1. Matsunami M, Suzuki T, Yashima J, Kuji H, Matsue K. Delayed kinetics of SARS-CoV-2 IgG antibody production in kidney transplant recipients following the third dose of COVID-19 vaccination.
    Clin Exp Nephrol. 2022 Aug 5:1?2.
  2. Matsunami M, Suzuki T, Sugihara S, Toishi T, Nagaoka K, Fukuda J, Ohara M, Takanashi Y, Ochi A, Yashima J, Kuji H, Matsue K. Evaluation of the Correlation Between Responders and Non-Responders to the Second Coronavirus Disease Vaccination In Kidney Transplant Recipients: A Retrospective Single-Center Cohort Study.
    Transplant Proc. 2022 May 31:S0041-1345(22)00382-7.
  3. Matsunami M, Suzuki T, Fukuda J, Terao T, Ukai K, Sugihara S, Toishi T, Nagaoka K, Nakata M, Ohara M, Yashima J, Kuji H, Matsue K. Comparison of antibody response following the second dose of SARS-CoV-2 mRNA vaccine in elderly patients with late-stage chronic kidney disease.
    Ren Replace Ther. 2022;8(1):13.
  4. Matsunami M, Suzuki T, Terao T, Kuji H, Matsue K. Immune response to SARS-CoV-2 vaccination among renal replacement therapy patients with CKD: a single-center study.
    Clin Exp Nephrol. 2022 Mar;26(3):305-307.
  5. Sato H, Ichikawa D, Okada E, Suzuki T, Watanabe S, Shirai S, Shibagaki Y. Spontaneous remission in adult patients with IgA nephropathy treated with conservative therapy.
    PLoS One. 2021 May 27;16(5):e0251294.

  6. Suzuki T, Han W, Watanabe S, Terashita M, Nakata M, Ichikawa D, Shirai S, Shibagaki Y. Clinical characteristics of thrombospondin type-1 domain-containing 7A-associated membranous nephropathy.
    Ren Fail. 2020 Nov;42(1):966-968.
  7. Murasawa M, Uehara A, Suzuki T, Shimizu S, Kojima S, Uchida D, Okamoto T, Naganuma T, Sasaki S, Imai N, Chikaraishi A, Matsukawa S, Kawarazaki H, Sakurada T, Shibagaki Y. Association between pill burden and interdialytic weight gain in patients with hemodialysis: A multi-center cross-sectional study.
    Ther Apher Dial. 2021 Aug;25(4):475-482.
  8. Kataoka H, Ohara M, Suzuki T, Inoue T, Akanuma T, Kawachi K, Manabe S, Ushio Y, Kawasoe K, Akihisa T, Sato M, Iwasa N, Sawara Y, Honda K, Mochizuki T, Tsuchiya K, Nitta K. Time series changes in pseudo-R2 values regarding maximum glomerular diameter and the Oxford MEST-C score in patients with IgA nephropathy: A long-term follow-up study.
    PLoS One. 2020 May 7;15(5):e0232885.
  9. Suzuki T, Kohatsu K, Han W, Watanabe S, Yahagi K, Nakata M, Ueno T, Ichikawa D, Imai N, Shirai S, Koike J, Shibagaki Y. Morphological Features of Minimal Change Disease and Focal Segmental Glomerulosclerosis Using Repeat Biopsy and Parietal Epithelial Cell Marker.
    Kidney Dis (Basel). 2020 Mar;6(2):119-124.
  10. Kataoka H, Ohara M, Shibui K, Sato M, Suzuki T, Amemiya N, Watanabe Y, Honda K, Mochizuki T, Nitta K. Overweight and obesity accelerate the progression of IgA nephropathy: prognostic utility of a combination of BMI and histopathological parameters.
    Clin Exp Nephrol. 2012 Oct;16(5):706-12.
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