慢性腎臓病/CKD

Iida H, Fujimoto S, Wakita T, Yanagi M, Suzuki T, Koitabashi K, Yazawa M, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y, Kurita N#. (#corresponding author)
Psychological Flexibility and Depression in Advanced CKD and Dialysis
進行期の慢性腎臓病と透析における心理的柔軟性(アクセプタンス)とうつ発生の関係性
Kidney Medicine 2020; (inpress)

マインドフルネス領域では、心理学的柔軟性(psychological flexibility)が注目を浴びています。心理学的柔軟性は、病と共に生きる患者が病気の体験をどのように受け入れるか-すなわち受容(acceptance)-を包含する概念といえます。他方で、うつは慢性腎臓病に多く、患者さんにとって重要な健康問題として認識されています。保存期慢性腎臓病と透析の患者において、心理学的柔軟性を測定するAAQ-II(Acceptance and Action Questionnaire-II)が良好であるほど-言い換えると、受容が良好であるほど-、うつの発生が少ないことが明らかにされました。慢性腎臓病患者のうつの予防や治療の手段として、心理学的柔軟性を高めるような行動療法(例えば、acceptance and commitment therapy)が有用である可能性を示唆しました。

Fukuhara S*, Kurita N*#, Wakita T, Green J, Shibagaki Y. (*co-first authors; #corresponding author)
健康関連ホープ(HR-Hope)を測定する尺度:開発と計量心理学的検証
Annals of Clinical Epidemiology 2019; 1: 102-119.

健康に関連するホープの概念を測定可能にすることを目的に、18項目健康関連ホープ尺度(HR-Hope)の開発と計量心理学的検証を行いました。「健康と病/Health & illness」、「役割と社会的なつながり/Role & social connectedness」、「生きがい/Something to live for」の3つのドメインで構成されます。高い信頼性係数と、一般人向けの希望尺度よりもすぐれた基準関連妥当性が確認できました。治療が困難な疾患を有する患者や超高齢者を対象とした研究におけるアウトカム指標として活用されることが期待されます。また、健康行動を規定する心理的な要因の1つとしても、今後の活用が期待されます。科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号16H05216; 研究代表者:柴垣有吾; 研究分担者:福原 脇田 栗田)を受けて実施した研究です。全文読めます[free-fulltext]。

Miyamoto M, Kurita N, Suemitsu K, Murakami M
透析導入前の慢性腎臓病ステージ5における、内シャントと生命予後のアウトカム
American Journal of Nephrology 2017; 45: 356-364.
[ Editorial記事 ]

保存期腎不全(CKD)で内シャント(AVF)を作製するタイミングについては、欧米のガイドラインでは早期(CKDステージ4)を推奨しています。しかし、早期の作製をする場合、透析を導入する前にAVFが閉塞したり、お亡くなりになる割合が高い実態が報告されていました。本邦のガイドラインでは、AVFを作製するタイミングについて、CKDステージ5の段階を推奨していることに本研究では着目しました。その結果、CKDステージ5でAVFを作成した後に、透析を始める前にAVFが機能しなくなったり・お亡くなりになる割合は低いことを明らかにしました(1年で約5%)。本邦独自のステージでの作製する診療実態を記述した研究です。教員が計画立案・解析・論文化に参画しました。研究は総説記事に取り上げられました[Editorial記事: When Is the Right Time for Arteriovenous Fistula Placement in Patients with End-Stage Renal Disease? (末期腎不全患者の内シャント造設の適時はいつなのか?)]。また、UpToDateに引用され、「腎不全患者の血管アクセスが必要と思われる時期、とくに推算GFRで5-15ml/min/m2のころに、血管アクセス外科医に患者さんを紹介すべき」というUpToDateの著者によるオピニオンの礎となりました。 [Arteriovenous fistula creation for hemodialysis and its complications]。

Kurita N, Horie S, Yamazaki S, Otani K, Sekiguchi M, Onishi Y, Takegami M, Ono R, Konno S, Kikuchi S, Fukuhara S
男性ホルモンの低い値が低い腎機能と関係する:LOHAS研究
Journal of the American Medical Directors Association 2016; 17: 371.e1-.e6.
[ テストステロンで男らしさと健やかさを保て! ]

福島の高齢化地域に在住の成人男性848名を対象にした横断調査です。唾液テストステロン濃度が低いほど、推算糸球体濾過量(eGFR)が低いことを示しました。この関係性は、年齢などの背景因子で補正した上での結果でした。60歳以上の高齢者に限定して分析した場合も同じ結果でした。この研究により、腎機能は男性ホルモンの低下によって減少する可能性が示唆された。今後、縦断的な検証が必要であると考えております。この研究成果は、順天堂大学の 堀江 重郎 教授、本学の整形外科学講座、京都大学医療疫学分野のご縁で実現したものです。堀江先生より、メディカルトリビューでご紹介いただきました。[テストステロンで男らしさと健やかさを保て!]

Doi T*, Yamamoto S*, Morinaga T*, Sada K*, Kurita N*, Onishi Y. (*Equally contributed)
透析前腎臓診療を受けていた慢性腎臓病ステージ5の、血液透析を導入してから1年以内の生存を予測するスコア
PLoS One 2015; 10: e0129180.
[ 紹介記事(日本語) ]

血液透析患者の生命予後は以前に比べて改善している一方で、血液透析導入後に早期にお亡くなりになる患者さんも残念ながらいらっしゃいます。そのような患者を予測することは、透析導入の意思決定を医師・患者間で行う際に有用な情報となる可能性があります。本研究では、保存期腎不全診療を受けていた患者において、血液透析導入1年後の死亡リスクを予測するスコアを開発しました。予測に使う因子は、血液透析導入時の診療情報から入手可能なものです。さらに、予測スコアの内的妥当性も検証しました。今後、外部妥当性の検証が必要です。ご縁を頂き、広島大学・新潟大学・名古屋大学・岡山大学の腎臓・透析医の先生方とともにご一緒することができた研究です。他大学の先生がリサーチ・クエスチョンを考案され、教員が研究計画の立案、解析、論文化にコミットしました。