腰痛/low back pain
2023年、「日本腰痛学会」では、20–90歳の全国一般住民を対象とした大規模訪問調査「腰痛疫学調査」を実施しました(調査報告書はこちら)。本研究では、この全国調査データを用いて、日本語版オズウェストリー障害指数(ODI version 2.1a:腰痛によって日常生活がどの程度障害されているかを評価する代表的指標)の計量心理学的妥当性を検証するとともに、国民標準値(normative values)の推定を行いました。
解析の結果、ODI version 2.1a は、日本人一般住民において単一の総合スコアとして適切に利用できることが確認されました。さらに、腰痛有訴者におけるODIの国民標準値は平均20.23(標準偏差16.42)であり、腰痛の持続期間によって国民標準値が異なることが示されました(急性腰痛:12.54、亜急性腰痛:13.54、慢性腰痛:22.74)。
これらの知見は、臨床現場における患者の障害度の評価指標として、ODI version 2.1aをより適切に活用するための基盤になることが期待されます。また、日本人一般住民における基準値を提示したことで、今後の腰痛研究や疫学研究における比較指標としての活用も期待されます。
本研究では、福島県立医科大学整形外科学講座の遠藤先生が筆頭著者を担いました。本研究は、二階堂先生、紺野名誉教授らが推進してきた全国腰痛疫学研究プロジェクトの主要テーマの一つとして実施されたものです。指導教員は、調査票の設計、リサーチクエスチョンの定式化、統計解析、論文作成に至るまで、研究全体にわたり中心的に関与しました。
また、ODI version 2.1aの計量心理学的評価については関西大学の脇田貴文教授、全国住民調査データの適正利用については福島県立医科大学医療研究推進センターの小早川雅男教授をはじめ、多くの研究者の支援を受けながら実現した成果でもあります。
2023年に「日本腰痛学会」では、20〜90歳の全国の一般住民を対象に、訪問調査による大規模な「腰痛の疫学」調査を実施しました(調査報告書はこちら)。本研究では、この調査データを用いて、腰痛と睡眠障害の関係を分析しました。
その結果、慢性腰痛のある人では、睡眠障害を抱えている割合が高いことがわかりました。さらに、睡眠障害の増加は「痛みそのもの」よりも、腰痛によって日常生活がどの程度制限されるか(機能障害の程度)によって説明される可能性が示されました。つまり、痛みによる生活上の困難さが、睡眠の質により強く影響していると考えられます。
本研究は、藤田医科大学 整形外科学講座の先生方が主導されたもので、本学整形外科学講座からは二階堂先生、遠藤先生、そして弊分野から博士研究員の富永先生が参画しました。また、主指導教員は特に研究デザインおよび統計解析プランへコミットメントしました。
SPSS-OKプロジェクトの第8報目となります。腰部脊柱管狭窄症およそ500名を分析した研究です。バイオインピーダンス測定で得られる位相角(PhA)が高いほど、腰痛に伴う機能障害は少ないことを示しました。この関係性は、腰痛・下肢痛・下肢のしびれ・脂肪量・筋肉量と独立していました。腰痛に伴う機能障害は、Oswestry Disability Index(ODI)によって評価されました。主指導教員が研究デザインの立案・解析・論文化を支援しました。あんしん病院の理学療法士で院長補佐の和田先生や整形外科の先生方、京都大学の 紙谷司先生、筑波大学の山田実教授との共同研究でもあり、このご縁をいただいたことと、プロジェクトの支援をして頂いている皆様に感謝しております。科学研究費補助金の助成を受けて実施した研究です。
「脊柱の変形がどの程度あると、腰痛に伴う生活の質がどれぐらいインパクトを受けるのか?」これが、成人脊柱変形の診療で重要なクリニカル・クエスチョンとなっています。国際側弯症学会では、脊椎のX線撮影から得られる脊椎・骨盤アラインメントの計測値を、変形の程度の指標としています。
本研究では、矢状面で計測される「骨盤形態角(Pelvic Incidence)と腰椎前弯角(Lumbar Lordosis)の差分(PI-LL)」が10°を超えるほど、腰痛に伴う生活の質が低くなる可能性を示しました。脊柱変形に伴って骨盤で体の重心を保とうとする代償メカニズム(cone of economy)と代償の限界を説明できる知見と考えられます。博士研究員の富永亮司先生が着想し、主指導教員はリサーチ・クエスチョンの明確化・統計解析・論文化でコミットしました。福島県の南会津・只見町の成人を対象に行われた研究で、本学の整形外科学講座、京都大学医療疫学分野との共同成果です。


