Iida H*, Kurita N*#, Takahashi S, Sasaki S, Nishiwaki H, Omae K, Yajima N, Fukuma S, Hasegawa T, Fukuhara S. The Sukagawa Study Group (*equally contributed; #corresponding author)
超高齢者の塩分摂取量・体重過多が高い血圧と関係する:須賀川研究
The Journal of Clinical Hypertension 2019; 21: 942-949. doi:10.1111/jch.13593

須賀川市の後期高齢者288名(平均年齢80歳)を対象に、一日食塩摂取量(田中式で推定)、体重と血圧上昇との関連を横断的に調査しました。一日食塩摂取量の平均は9.1g/日でした。食塩摂取量と体重の1標準偏差あたりの増加が、収縮期血圧4.1mmHg および5.3mmHg の上昇と関連しました。体重の1標準偏差あたりの増加が、拡張期血圧2.7mmHg の上昇と関連しました。生活習慣の変容により後期高齢者の血圧を管理できる可能性を示しました。大学院研究生の飯田 英和先生が着想し、主指導教員が解析論文化を指導しました。臨床研究イノベーションセンターのOB・現スタッフの努力の賜物で行うことができた研究です。須賀川市にも還元しうる知見を得ました。皆様のお蔭でありますため、筆頭著者・主指導教員ともにこの機会を頂いたことに大変感謝しております。[※研究成果が、7月11日の 福島民報 日刊に掲載されました。後期高齢者の高血圧 食塩摂取量と体重 関連. 福島民報. 2019年7月11日 日刊25ページ.]

Kurita N# (#corresponding author)
東日本大震災・福島第一原子力発電所事故と福島市の出生率の関係性:分割時系列解析
JAMA Network Open 2019; 2: e187455. doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.7455
[ 原発事故から2年間の福島市の出生率は低下 3年目以後は震災前からの長期的な少子化トレンドに ]

この研究では、大震災と原発災害が福島市における出生率にどのような影響を与えたのかを調べました。自由に閲覧できる行政の月別データを、臨床疫学的な方法で分析しました。震災後2年の間は、出生率が10%低下したと推定しました。しかし、その後の2017年までの出生率の傾向は、震災前と同じくらいに回復していました(分割時系列解析の結果から分かるように、震災が起こる前と後では、出生率の傾向に大きな変化がなかったのです)。この回復は、福島市の復興の努力が反映されたものであると考えられました。このようなデータサイエンス研究こそが、私たちにとって、災害から立ち上がり、再び希望を持って未来を歩んでいく力を与えてくれると思いませんか?全文読めます[free-fulltext]。また、日経メディカル・福島民報・福島民友で紹介されました。[原発事故から2年間の福島市の出生率は低下 3年目以後は震災前からの長期的な少子化トレンドに]



福島市の出生率低下 震災前と同じ水準に. 福島民友新聞. 2019年3月7日 2ページ

Kurita N#, Akizawa T, Fukuhara S. (#corresponding author)
自己報告のエネルギーとして測定した活力と血液透析患者の関連因子、および臨床アウトカム:J-DOPPS研究
American Journal of Kidney Diseases 2019; 73: 486-495. doi:10.1053/j.ajkd.2018.10.001
[ 紹介記事(福島医大HP) ]

バイタリティー(活力)を測るSF-12質問票の単一項目「過去4週間のうちどのぐらい活力(エネルギー)にあふれていましたか」への回答と、臨床アウトカム(健康に関しての結果)の関係性を、血液透析患者の大規模なコホート(J-DOPPS)で分析しました。頻脈・ベンゾジアゼピン等の使用が低い活力と関係し、高いBMI・アルブミン・透析量が高い活力と関係しました。バイタリティーへの回答が良好なほど、バイタルサイン等と独立に、生命予後が良好で、反復のある血管イベント入院・死亡が少ないことがわかりました。単一項目のバイタリティー(活力)を、”QOLのバイタルサイン”として、診療現場でバイタルサインのように測定する意義を示しました。

Iida H, Kurita N#, Fujimoto S, Kamijo Y, Ishibashi Y, Fukuma S, Fukuhara S. (#corresponding author)
International Urology and Nephrology 2018; 50: 763-769. doi:10.1007/s11255-018-1789-x

自己管理手帳の記載割合と腹膜透析関連感染症の発生との関連性を調べた臨床研究論文です。現場の疑問を温めていた飯田英和先生と、弊分野・臨床研究イノベーションセンターの共同作業で発信できた成果です。主指導教員が研究デザインの立案・解析・論文化の指導に参画しました。

Inoue H, Shimizu S, Watanabe K, Kamiyama Y, Shima H, Nakase A, Ishida H, Kurita N, Fukuma S, Fukuhara S, Yamada Y
Nephrology Dialysis Transplantation 2018; 33: 676-683. doi:10.1093/ndt/gfx253

血液透析患者の腹部大動脈レベルにおける血管石灰化の2年間の推移(トラジェクトリー)混合軌跡モデリング(Group-based multi-trajectory modeling)でグループ分けされました。石灰化の急激な増加のグループと、研究開始時点で高度な石灰化があり、ゆっくり増加するグループの両方が、その後の悪い生命予後と関連する結果となっていました。

Iyoda T, Kurita N#, Takada A, Watanabe H, Ando M. (#corresponding author)
The American journal of case reports 2018; 19: 360-364. doi:10.12659/AJCR.908570

ニボルマブ投与後に生じる腸炎の治療に関しての症例報告です。大学院研究生として在籍している伊與田友和氏が、御自身の医療現場での経験を題材に報告を行いました。伊與田氏は当時、坪井病院の薬剤師として活躍していました。弊分野の教員が論文の書き方を指導いたしました。今ではNature Reviews Clinical Oncologyにも引用されています。