業績

栗田宜明.
いま身につけたい CKD患者を診るチカラ 腎機能を診るチカラ レジデントノート増刊 羊土社 2024; 26巻14号: (in press)

慢性腎臓病の腎代替療法(透析や腎移植など)の導入前や導入後を中心に、抑うつや絶望感(ホープレス)を含む心理的葛藤やアドバンスケアプラニングについて解説しています。

Tsugihashi Y, Yasunaka M, Hayashi S, Iida H, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
Shorter duration until death is associated with lower hope among patients receiving home medical care: A cohort study
在宅医療患者における実際の余命と健康関連ホープとの関係性:ZEVIOUSコホート研究
Geriatrics & Gerontology International 2024; doi:10.1111/ggi.15029 (in press)
Kurita N, Wakita T, Fujimoto S, Yanagi M, Koitabashi K, Yazawa M, Suzuki T, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y.
慢性腎臓病および透析において健康関連ホープが水分制限・食事制限に伴う苦痛におよぼす影響
BMC Nephrology 2024; 25: 362. doi:10.1186/s12882-024-03818-1

成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、健康関連ホープ尺度(HR-Hope)と水分制限・食事制限による苦痛との関係を縦断的に分析しました。その結果、HR-Hopeスコアが高い患者ほど、1年後に水分制限や食事制限に対する負担感が有意に軽減されることが示されました。これは、CKDにおける食事療法のアドヒアランスを妨げる心理的苦痛が、患者がどの程度健康に対するホープを持っているかに依存する可能性を示唆しています。本研究は日本学術振興会(JSPS)の科学研究費補助金の助成を受けて実施されました。

Yoshimi R, Yajima N, Hidekawa C, Sakurai N, Oguro N, Shidahara K, Hayashi K, Ichikawa T, Kishida D, Miawaki Y, Sada KE, Shimojima Y, Ishikawa Y, Yoshioka Y, Kunishita Y, Kishimoto D, Takase K, Kirino Y, Ohno S, Kurita N*, Nakajima H*. (*co-last authors)
全身性エリテマトーデスの管理における協働意思決定が医師への信頼に及ぼす影響: TRUMP2-SLE前向きコホート研究
Arthritis Care & Research 2024; doi:10.1002/acr.25409 (in press)

日本人の全身性エリテマトーデス(SLE)の方々を対象に、患者の共同意思決定(SDM)への参加が医師への信頼とどのように関係するかを追跡調査により分析しました。
その結果、共同意思決定の質が高いほど、主治医に対する信頼度が高くなることがわかりました。さらに、医師全般に対する信頼度も高くなることがわかりました。
以上から、SLEの方々がSDMに参加することによって、医師-患者関係や医療全体の信頼が向上する可能性が示唆されました。この研究は、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた♣️TRUMP2♠️-SLEプロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)の成果であり、昭和大学の矢嶋先生、高知大学の佐田先生、信州大学の下島先生、横浜市立大学の吉見先生、岡山大学の宮脇先生らとのチームプロダクトであり、リサーチ・クエスチョンの発案・解析・論文化に主指導教員が力を注いだものです。[※研究成果が、福島民友 日刊に掲載されました。難病患者の主治医への信頼度 治療の共同決定で向上 福島医大・栗田氏ら発表. 福島民友. 2024年9月5日 日刊4ページ.]

Yasunaka M, Tsugihashi Y, Hayashi S, Iida H, Hirose M, Shirahige Y, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
在宅医療患者における期待余命と生活の質および健康関連ホープとの関係性:ZEVIOUS研究
PLOS ONE 2023; 18: e0295672. doi:10.1371/journal.pone.0295672

東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の期待余命(どれぐらいの年数を生きるかを担当医が予測したもの)と生活機能、QOL、およびホープとの関係性を横断的に分析しました。生活機能はWHODAS 2.0(高得点ほど機能と障害が悪い)で、QOLはQOL-HC(高得点ほどQOLが高い)で、ホープは健康関連ホープ尺度のドメインスコア(「健康」、「役割とつながり」、「生きがい」:高得点ほど希望が高い)で評価しました。期待余命が短いほどQOLスコアが高くなる一方で、生活機能は低くなることがわかりました。期待余命が短いほど、「生きがい」スコアは低くなる一方で、「役割とつながり」については顕著な違いは示されませんでした。
長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方・医療法人社団鉄祐会とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主筆は安中正和先生が務められ、次橋幸男先生が加勢しました。主指導教員は、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化でフルコミットしました。

柴垣有吾, 栗田宜明 (担当:共編著者)
臨牀透析2023年9月 日本メディカルセンター 2023; 39: 128.

臨牀透析2023年9月の特集がホープになった!ということで、健康関連ホープ尺度の開発と応用でご一緒させて頂いている柴垣有吾先生より、石橋由孝先生(日本赤十字社医療センター腎臓内科)とともに企画段階からお声掛けいただき、共同編集者として特集に取り組ませて頂きました。
この特集では、主指導教員が尊敬する臨床や研究の同僚や先輩方に玉稿を寄せて頂きました。具体的には、腎透析臨床の実践者や、人生の終末期の心理や意思決定に焦点を当てて診療と研究を行う臨床家、行動医学の専門家に、診療現場での希望の意義やアプローチの仕方について理解を深めることができるよう、具体的にわかりやすくご執筆頂きました
読者の皆様が透析患者さんとより良い治療関係を築き、患者さんの充実した疾病ライフを支えるための一助となることを願ってやみません。

Miyawaki Y, Sada KE, Shidahara K, Nawachi S, Asano Y, Katayama Y, Hayashi K, Katsuyama E, Katsuyama T, Takano-Narazaki M, Matsumoto Y, Oguro N, Yajima N, Ishikawa Y, Sakurai N, Hidekawa C, Yoshimi R, Kishida D, Ichikawa T, Shimojima Y, Wada J, Kurita N#. (#corresponding author)
大学のリウマチ医におけるグリットーやり抜く力と燃え尽き症候群の構成要素との関連性:TRUMP2-SLE研究
Journal of Clinical Rheumatology 2023; 29: 268-274. doi:10.1097/RHU.0000000000001989

大学病院で働くリウマチ医を対象に、グリット-やりぬく力とバーンアウト(燃え尽き症候群)という疲れやすさの要素との関連性を調べました。この研究は岡山大学の宮脇先生が主筆を務めました。その結果、グリットが高いほど、職務効力感が高いことがわかりました。また、若くて職位が低い医師は冷笑的な態度を示す傾向があり、女性や子供がいない医師は疲れやすい傾向があることも分かりました。この研究は、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた「♣️TRUMP2-SLE♠️プロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)」の成果であり、リサーチ・クエスチョンの発案・解析・論文化に主指導教員が力を注いだものです。

Oguro N, Yajima N, Miyawaki Y, Yoshimi R, Shimojima Y, Sada KE, Hayashi K, Shidahara K, Sakurai N, Hidekawa C, Kishida D, Ichikawa T, Ishikawa Y, Kurita N#. (#corresponding author)
全身性エリテマトーデス(SLE)患者の伝達的・批判的ヘルスリテラシーが医師への信頼に与えるインパクト:TRUMP2-SLEプロジェクト
The Journal of Rheumatology 2023; 50: 649-655. doi:10.3899/jrheum.220678

日本人の全身性エリテマトーデス(SLE)の方々を対象に、ヘルスリテラシーが主治医への信頼や医師全般への信頼とどのように関係するかを横断的に分析しました。基本的・伝達的ヘルスリテラシーが高いほど、主治医に対する信頼が厚いことがわかりました。一方で、伝達的ヘルスリテラシーが高いほど医師全般への信頼が高く、批判的ヘルスリテラシーが高いほど医師全般に対する信頼が低いことがわかりました。また、インターネットの利用時間が長いほど、医師全般に対する信頼度が低くなる関係性が認められましたが、主治医への信頼度が必ずしも低くなるわけではないことを示しました。科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた♣️TRUMP2♠️-SLEプロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)の成果であり、昭和大学の矢嶋先生、高知大学の佐田先生、信州大学の下島先生、横浜市立大学の吉見先生、岡山大学の宮脇先生らとのチームプロダクトです。[※本研究は、リウマチの診療に役立つ重要な論文として、ジャーナルの編集長であるSilverman博士によって「Editor's Picks」に選ばれました。そして、ポッドキャストでも紹介されました(15:16-17:53)。また、研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。難病全身性エリテマトーデス患者 情報を積極的に収集 医師への信頼度高く 福島医大大学院 研究チームまとめ. 福島民報. 2023年1月29日 日刊21ページ. また、福島民友に掲載されました。患者と対話で信頼醸成 福島医大 ヘルスリテラシー研究. 福島民友. 2023年1月27日 日刊3ページ.]

Kurita N#, Oguro N, Miyawaki Y, Hidekawa C, Sakurai N, Ichikawa T, Ishikawa Y, Hayashi K, Shidahara K, Kishida D, Yoshimi R, Sada KE, Shimojima Y, Yajima N. (#corresponding author)
日本人の全身性エリテマトーデス(SLE)における主治医への信頼感、健康関連ホープ、服薬アドヒアランス尺度との関係性:TRUMP2-SLEプロジェクト
Rheumatology (Oxford, England) 2023; 62: 2147-2153. doi:10.1093/rheumatology/keac565

日本人のSLE(全身性エリテマトーデス)患者を対象に、主治医への信頼度健康に関する希望(健康関連ホープ)が、薬の服用をちゃんと守ること(服薬アドヒアランス)とどう関係しているかを、調べました。主治医への信頼度が高い人や、健康に関して希望をもっている人ほど、薬をきちんと守る得点が高い傾向があることがわかりました。この研究は、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた♣️TRUMP2-SLE♠️プロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)の成果であり、昭和大学の矢嶋先生、高知大学の佐田先生、信州大学の下島先生、横浜市立大学の吉見先生、岡山大学の宮脇先生らとチームで取り組んだものです。[※研究成果が、Doctors.net.uk(イギリスの医師向けウェブサイト)で紹介されました。また、福島民報 日刊に掲載されました。難病・全身性エリテマトーデス患者 前向きな姿勢 主治医への信頼 ⇒ 薬正しく服用 福医大大学院の研究チームなど. 福島民報. 2023年4月19日 日刊27ページ. ]

Wada O, Yamada M, Kamitani T, Mizuno K, Tadokoro K, Kurita N#. (#corresponding author)
腰部脊柱管狭窄症における位相角(PhA)と腰痛に伴う機能障害との関係性:SPSS-OK研究
Journal of Back and Musculoskeletal Rehabilitation 2023; 36: 399-405. doi:10.3233/BMR-220038

SPSS-OKプロジェクトの第8報目となります。腰部脊柱管狭窄症およそ500名を分析した研究です。バイオインピーダンス測定で得られる位相角(PhA)が高いほど、腰痛に伴う機能障害は少ないことを示しました。この関係性は、腰痛・下肢痛・下肢のしびれ・脂肪量・筋肉量と独立していました。腰痛に伴う機能障害は、Oswestry Disability Index(ODI)によって評価されました。主指導教員が研究デザインの立案・解析・論文化を支援しました。あんしん病院の理学療法士で院長補佐の和田先生や整形外科の先生方、京都大学の 紙谷司先生、筑波大学の山田実教授との共同研究でもあり、このご縁をいただいたことと、プロジェクトの支援をして頂いている皆様に感謝しております。科学研究費補助金の助成を受けて実施した研究です。