Sada KE, Miyawaki Y, Shidahara K, Nawachi S, Katayama Y, Asano Y, Hayashi K, Ohashi K, Katsuyama E, Katsuyama T, Narazaki M, Matsumoto Y, Oguro N, Ishikawa Y, Sakurai N, Hidekawa C, Yoshimi R, Ichikawa T, Kishida D, Shimojima Y, Kurita N, Yajima N.
主治医の性格特性(グリットーやり抜く力)と全身性エリテマトーデス(SLE)患者における治療目標達成度の関係性
Rheumatology (Oxford, England) 2023; 62: 2154-2159. doi:10.1093/rheumatology/keac612

日本人の全身性エリテマトーデス(SLE)の方々を対象に、主治医の性格特性(Grit)がSLEの治療目標達成と関連するかどうかを検討した研究です。主筆は高知大学の佐田教授です。
Gritは全般的なやり抜く力をたずねるもので、治療目標達成の一貫性を直接たずねているわけではありません。本研究では、主治医の一貫性が高い方が、治療目標が達成しにくいという関係性を観察しました。科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた♣️TRUMP2-SLE♠️プロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)の成果です。

Oguro N, Yajima N, Miyawaki Y, Yoshimi R, Shimojima Y, Sada KE, Hayashi K, Shidahara K, Sakurai N, Hidekawa C, Kishida D, Ichikawa T, Ishikawa Y, Kurita N#. (#corresponding author)
全身性エリテマトーデス(SLE)患者の伝達的・批判的ヘルスリテラシーが医師への信頼に与えるインパクト:TRUMP2-SLEプロジェクト
The Journal of Rheumatology 2023; 50: 649-655. doi:10.3899/jrheum.220678

日本人の全身性エリテマトーデス(SLE)の方々を対象に、ヘルスリテラシーが主治医への信頼や医師全般への信頼とどのように関係するかを横断的に分析しました。基本的・伝達的ヘルスリテラシーが高いほど、主治医に対する信頼が厚いことがわかりました。一方で、伝達的ヘルスリテラシーが高いほど医師全般への信頼が高く、批判的ヘルスリテラシーが高いほど医師全般に対する信頼が低いことがわかりました。また、インターネットの利用時間が長いほど、医師全般に対する信頼度が低くなる関係性が認められましたが、主治医への信頼度が必ずしも低くなるわけではないことを示しました。科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた♣️TRUMP2♠️-SLEプロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)の成果であり、昭和大学の矢嶋先生、高知大学の佐田先生、信州大学の下島先生、横浜市立大学の吉見先生、岡山大学の宮脇先生らとのチームプロダクトです。[※本研究は、リウマチの診療に役立つ重要な論文として、ジャーナルの編集長であるSilverman博士によって「Editor's Picks」に選ばれました。そして、ポッドキャストでも紹介されました(15:16-17:53)。また、研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。難病全身性エリテマトーデス患者 情報を積極的に収集 医師への信頼度高く 福島医大大学院 研究チームまとめ. 福島民報. 2023年1月29日 日刊21ページ. また、福島民友に掲載されました。患者と対話で信頼醸成 福島医大 ヘルスリテラシー研究. 福島民友. 2023年1月27日 日刊3ページ.]

栗田宜明
腎疾患における臨床研究の進歩 【臨床研究の最新手法】周辺構造モデル
腎と透析 東京医学社 2022; 93巻3号(9月号): 335-340.

腎透析領域の臨床研究で応用されている周辺構造モデル(marginal structural model)について解説しています。特に、周辺構造モデルを必要とする臨床セッティングとクリニカル・クェスチョンの例、周辺構造モデルで用いられる統計モデルの例、解釈の仕方や注意点について説明を試みました。

Kurita N#, Oguro N, Miyawaki Y, Hidekawa C, Sakurai N, Ichikawa T, Ishikawa Y, Hayashi K, Shidahara K, Kishida D, Yoshimi R, Sada KE, Shimojima Y, Yajima N. (#corresponding author)
日本人の全身性エリテマトーデス(SLE)における主治医への信頼感、健康関連ホープ、服薬アドヒアランス尺度との関係性:TRUMP2-SLEプロジェクト
Rheumatology (Oxford, England) 2023; 62: 2147-2153. doi:10.1093/rheumatology/keac565

日本人のSLE(全身性エリテマトーデス)患者を対象に、主治医への信頼度健康に関する希望(健康関連ホープ)が、薬の服用をちゃんと守ること(服薬アドヒアランス)とどう関係しているかを、調べました。主治医への信頼度が高い人や、健康に関して希望をもっている人ほど、薬をきちんと守る得点が高い傾向があることがわかりました。この研究は、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田 佐田 下島 吉見)を受けた♣️TRUMP2-SLE♠️プロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients with SLE)の成果であり、昭和大学の矢嶋先生、高知大学の佐田先生、信州大学の下島先生、横浜市立大学の吉見先生、岡山大学の宮脇先生らとチームで取り組んだものです。[※研究成果が、Doctors.net.uk(イギリスの医師向けウェブサイト)で紹介されました。また、福島民報 日刊に掲載されました。難病・全身性エリテマトーデス患者 前向きな姿勢 主治医への信頼 ⇒ 薬正しく服用 福医大大学院の研究チームなど. 福島民報. 2023年4月19日 日刊27ページ. ]

Wada O, Yamada M, Kamitani T, Mizuno K, Tadokoro K, Kurita N#. (#corresponding author)
腰部脊柱管狭窄症における位相角(PhA)と腰痛に伴う機能障害との関係性:SPSS-OK研究
Journal of Back and Musculoskeletal Rehabilitation 2023; 36: 399-405. doi:10.3233/BMR-220038

SPSS-OKプロジェクトの第8報目となります。腰部脊柱管狭窄症およそ500名を分析した研究です。バイオインピーダンス測定で得られる位相角(PhA)が高いほど、腰痛に伴う機能障害は少ないことを示しました。この関係性は、腰痛・下肢痛・下肢のしびれ・脂肪量・筋肉量と独立していました。腰痛に伴う機能障害は、Oswestry Disability Index(ODI)によって評価されました。主指導教員が研究デザインの立案・解析・論文化を支援しました。あんしん病院の理学療法士で院長補佐の和田先生や整形外科の先生方、京都大学の 紙谷司先生、筑波大学の山田実教授との共同研究でもあり、このご縁をいただいたことと、プロジェクトの支援をして頂いている皆様に感謝しております。科学研究費補助金の助成を受けて実施した研究です。

Katayama K, Kurita N#, Takada T, Miyashita J, Azuma T, Fukuhara S, Takeshima T. (#corresponding author)
嚥下リハビリテーションを受けた誤嚥性肺炎の高齢者における経口摂取開始のタイミングと院内アウトカムの関係性
Clinical Nutrition 2022; 41: 2219-2225. doi:10.1016/j.clnu.2022.07.037

福島県白河市にある白河厚生総合病院に入院して摂食・嚥下リハビリテーションを受けた高齢者の誤嚥性肺炎の患者を対象に、24時間以内に口から食べ始めること(経口摂取の早期開始)が院内アウトカムとどのように関係するのかを分析しました。その結果、24時間以内に食べ始めた場合は、48時間以降に食べ始めた場合に比べて、口から食べられるまま退院できる可能性(経口摂取退院)が増えるという十分な証拠は得られませんでしたが、入院期間が短くなることがわかりました。慎重に嚥下機能を評価し、早期に口から食べ始めるかどうかを決めることで、誤嚥性肺炎の予後を悪化させずに入院期間を短縮できる可能性が示されました。この研究は、片山皓太先生(当時のシニアレジデント)が行ったもので、白河総合診療アカデミーの教員とともに力を合わせてチームで取り組んだものです。リサーチ・クエスチョンの明確化に高田先生・宮下先生・東先生・福原先生で指導され、リサーチ・クエスチョンの明確化・統計解析・論文化に竹島先生・主指導教員がコミットしました。[※研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。誤嚥性肺炎患者の経口摂取 1日以内再開で入院日数が短縮. 福島民報. 2022年10月25日 日刊20ページ. また、福島民友に掲載されました。誤嚥性肺炎の患者 入院24時間以内の食事再開 退院まで日数短縮 福島医大研究. 福島民友. 2022年10月25日 日刊20ページ.]

Sada KE*, Kurita N*, Noma H*, Matsuki T*, Quasny H, Levy AR, Jones-Leone RA, Gairy K, Yajima N* (*Equally contributed)
MOONLIGHT研究:Belimumabの市販後データと日本ループス全国登録コホート(LUNA)からループス腎炎に対するBelimumabの有効性を検証する研究のプロトコル論文
Lupus Science & Medicine 2022; 9: e000746. doi:10.1136/lupus-2022-000746

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療に用いられるベリムマブ(belimumab)が、維持期のループス腎炎の再発予防に有効性があるかどうかを検証する研究(MOONLIGHT研究)のプロトコール論文です。

栗田宜明, 河原崎宏雄, 石橋由孝, 柴垣有吾
第3章 腎代替療法の現状と問題点,求められるケア 2 世界の腎代替療法の現状と問題点① 新しい予後指標:PRO(patient-reported outcome)
腎代替療法のすべて 腎と透析 東京医学社 2022; 2022年92巻増刊号: 93-98.

透析における臨床研究で用いられるPROと身体データとのつながり、PROの使い道、健康関連ホープ尺度について解説しています。

Hayashi S, Shirahige Y, Fujioka S, Tsugihashi Y, Iida H, Hirose M, Yasunaka M, Kurita N, and the ZEVIOUS group.
在宅医療患者における患者本位の医療とアドバンスケアプランニングとの関係性:ZEVIOUS研究
Family Practice 2023; 40: 211–217. doi:10.1093/fampra/cmac062

東京・奈良・長崎で在宅医療を受ける患者の患者経験(ひらたく言えば、患者さん本位の医療を受けた経験を評価するスコア)アドバンスケアプランニングの参加との関係性を横断的に分析しました。患者経験はプライマリ・ケアの質を反映するJPCAT-SFで評価しました。患者経験が良好であるほど、アドバンスケアプランニングの参加割合が高いことを示しました。患者経験のドメイン別に調べても同様の関係性があることも確認できました。
医療法人社団鉄祐会・長崎在宅Dr.ネット・天理よろづ相談所白川分院と奈良県内でご活躍の先生方とチームで行う、ZEVIOUS研究(Zaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study)の成果(チームプロダクト)です。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化でフルコミットしました。

Tominaga R, Kurita N#, Sekiguchi M, Yonemoto K, Kakuma T, Konno S-i. (#corresponding author)
腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールおよび腰部脊柱管狭窄症自己報告型問診票の診断精度
PLOS ONE 2022; 17: e0267892. doi:10.1371/journal.pone.0267892

腰部脊柱管狭窄症(LSS)の診断サポートツールと自己報告型問診票の診断精度を、1657施設の整形外科外来のセッティングで検証し、北米脊椎外科学会(NASS)のLSSの臨床記述と比較しました。診断サポートツールと自己報告型問診票の診断精度は、それぞれ91.3%と83.8%、特異度は76.0%と57.6%であり、感度においてNASSの臨床記述よりも優れました。主指導教員はリサーチ・クエスチョンの明確化・研究デザイン・論文化でコミットしました。本学の整形外科学講座や他大学の先生方との共同成果です。