血液透析患者の血清カルシウム(Ca),リン(P),副甲状腺ホルモン(PTH)を測定する頻度の目安は、国内外の診療ガイドラインに記されています。しかし、測定頻度の根拠がありませんでした。二次性副甲状腺機能亢進症の血液透析患者3276名が対象の本コホート研究では、日本透析医学会のガイドラインの目標域を超えている場合、血清Caの毎週測定が毎月測定よりも目標域に達しやすく、PTHの毎月測定が3ヵ月毎の測定よりもガイドラインの目標域に達しやすかったことが明らかとなりました。ガイドラインの目標域内にある場合、より頻回な測定によって血清Ca, P, PTHの目標域が維持される可能性は、明らかになりませんでした。教員がリサーチ・クエスチョンの立案・解析・論文化にコミットしました。
業績
Yokoyama K*, Kurita N*, Fukuma S, Akizawa T, Fukagawa M, Onishi Y, Kurokawa K, Fukuhara S. (*co-first authors)
二次性副甲状腺機能亢進症を伴う血液透析患者における、ミネラル代謝の測定頻度:ガイドライン達成および治療の調節との関係性
Nephrology Dialysis Transplantation
2017;
32:
534–541.
doi:10.1093/ndt/gfw020
[
海外学会の公表記事 ]
Kurita N, Fujii A, Kotera N, Tanaka M, Tanaka S, Miyairi T, Sugimoto T, Mori M, Fukuhara S, Mise N
Blood Purification
2015;
40:
146-154.
doi:10.1159/000381938
Doi T*, Yamamoto S*, Morinaga T*, Sada K*, Kurita N*, Onishi Y. (*Equally contributed)
透析前腎臓診療を受けていた慢性腎臓病ステージ5の、血液透析を導入してから1年以内の生存を予測するスコア
PLoS One
2015;
10:
e0129180.
doi:10.1371/journal.pone.0129180
[
紹介記事(日本語) ]
血液透析患者の生命予後は以前に比べて改善している一方で、血液透析導入後に早期にお亡くなりになる患者さんも残念ながらいらっしゃいます。そのような患者を予測することは、透析導入の意思決定を医師・患者間で行う際に有用な情報となる可能性があります。本研究では、保存期腎不全診療を受けていた患者において、血液透析導入1年後の死亡リスクを予測するスコアを開発しました。予測に使う因子は、血液透析導入時の診療情報から入手可能なものです。さらに、予測スコアの内的妥当性も検証しました。今後、外部妥当性の検証が必要です。ご縁を頂き、広島大学・新潟大学・名古屋大学・岡山大学の腎臓・透析医の先生方とともにご一緒することができた研究です。他大学の先生がリサーチ・クエスチョンを考案され、教員が研究計画の立案、解析、論文化にコミットしました。
Ichikawa M, Takeuchi I, Konishi T, Kurita N.
Blood Purification
2014;
38:
106-107.
doi:10.1159/000366552



