第1著者/(co-)first author

Kurita N*, Miyashita J*, Nishimura M*, Kawarazaki H, Sofue T, Toida T, Inoue K, Kado H, Toda S, Nishiwaki H, Sugitani S, Nakaya I, Yamada Y, Yamamoto M, Shibata S, Maeda A, Oka H, Nishino T, Suzuki T, Komukai D, Furusho M, Inanaga R, Nishi K, Taki Y, Shimizu H, Yamada S, Asano K, Miyasato H, Murakami M, Tsutsui T, Nakamura T, Adachi T, Asada H, Uehara K, Tsukamoto T, Zamami R, Raita Y, Miyoshi K, Okamoto T, Ito T, Terawaki H, Fukuhara C, Yamamoto M, Naganuma T, Nagai K, Nagai K, Fujisaki K, Tamura Y, Shimizu H, Hirashio S, Nakanishi S, Furukata S, Nakano N, Shibagaki Y. (*co-first authors)
Journal of Nephrology 2026; doi:10.1093/joneph/aajag079 (in press)
Kurita N.
腎臓診療のための臨床疫学:研究の問いの立て方 ― バイオマーカーから患者報告型アウトカム(PRO)まで
Clinical and Experimental Nephrology 2026; 30: 559–569. doi:10.1007/s10157-026-02822-z

本総説は、腎臓医かつ臨床疫学者の視点から、日常診療で生じるクリニカルクエスチョンを、どのように質の高い臨床研究へと発展させるかを解説した論文です。医療の質を「構造・プロセス・アウトカム」で捉える基本モデルをベースにして、バイオマーカー評価のような従来型の研究から、患者報告アウトカム(PROs)、患者の体験や感情、さらには医療者と患者の関係性といった主観的要素までを、臨床疫学の枠組みの中で体系的に整理しています。臨床統計学的手法そのものだけでなく、「何を問い、なぜそれを問うのか」というリサーチ・クエスチョンをデザインする力の重要性を強調している点が特徴であり、患者を中心に据えた腎臓診療を実現するための臨床研究の考え方を、次世代の医療者・研究者に向けて示しています

栗田宜明, 河原崎宏雄, 石橋由孝, 柴垣有吾
腎と透析 2025; 99: 522–529. doi:10.24479/kd.0000002067

腎臓・透析における臨床研究で用いられるPRO (patient reported outcome) とPRE (patient reported experience)に関するコンセプトや使い道、健康関連ホープ尺度について解説しています。

Kurita N, Maeshibu T, Aita T, Wakita T, Kikuchi H.
BioPsychoSocial Medicine 2025; 19: 15. doi:10.1186/s13030-025-00337-9

肥満は個人の生活習慣の問題にとどまらず、社会や行政が取り組む健康政策(パブリックヘルス)においても重要な課題です。私たちの研究では、「やり抜く力(グリット)」と肥満の関係を、日本の成人を対象に調べました。
その結果、グリットが高い人ほど「肥満ではない」傾向があることが分かりました。さらに詳しく分析すると、この関係は「コントロール不能な食べすぎ(制御不能な摂食)」や「感情的な食べすぎ(感情的摂食)」が少ないことを通じて説明できることが明らかになりました。
つまり、グリットと肥満の関連は、グリットが高い人ほど食行動をより適切に保ちやすいことと結びついている、という間接的なメカニズムによる可能性が示唆されました。
この研究は、肥満対策を考える上で「個人の性格そのものに注目する」のではなく、「食行動という具体的な行動に働きかけること」が重要であることを示しています。
科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号JP22H03317; 研究代表者:栗田)を受けた研究の成果(チームプロダクト)です。※本研究は、「食と心の関係」の教育と研究を推進する米国の非営利団体「The Center for Nutritional Psychology(CNP)」のウェブサイトで紹介されました。

Kurita N, Wakita T, Fujimoto S, Yanagi M, Koitabashi K, Yazawa M, Suzuki T, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y.
慢性腎臓病および透析において健康関連ホープが水分制限・食事制限に伴う苦痛におよぼす影響
BMC Nephrology 2024; 25: 362. doi:10.1186/s12882-024-03818-1

成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、健康関連ホープ尺度(HR-Hope)と水分制限・食事制限による苦痛との関係を縦断的に分析しました。その結果、HR-Hopeスコアが高い患者ほど、1年後に水分制限や食事制限に対する負担感が有意に軽減されることが示されました。これは、CKDにおける食事療法のアドヒアランスを妨げる心理的苦痛が、患者がどの程度健康に対するホープを持っているかに依存する可能性を示唆しています。本研究は日本学術振興会(JSPS)の科学研究費補助金の助成を受けて実施されました。

栗田宜明
日本透析医会雑誌 2024; 39: 85-92.

この総説は、市中病院からでも国際学会や学術英文論文に臨床研究を発表できるかな?と憂いている医療者の声を耳にしたことを契機に誕生しました。主指導教員がクリニカル・クェスチョンの着想のヒントやフレームワークへの落とし込み方を中心に解説しています。腎臓・透析領域での自験例や臨床疫学研究の先駆者のエッセイや発表を見聞した体験を交えて、疑問を深めていくための実例を示しています。