本総説は、腎臓医かつ臨床疫学者の視点から、日常診療で生じるクリニカルクエスチョンを、どのように質の高い臨床研究へと発展させるかを解説した論文です。医療の質を「構造・プロセス・アウトカム」で捉える基本モデルをベースにして、バイオマーカー評価のような従来型の研究から、患者報告アウトカム(PROs)、患者の体験や感情、さらには医療者と患者の関係性といった主観的要素までを、臨床疫学の枠組みの中で体系的に整理しています。臨床統計学的手法そのものだけでなく、「何を問い、なぜそれを問うのか」というリサーチ・クエスチョンをデザインする力の重要性を強調している点が特徴であり、患者を中心に据えた腎臓診療を実現するための臨床研究の考え方を、次世代の医療者・研究者に向けて示しています。

第1著者/(co-)first author
Kurita N.
腎臓診療のための臨床疫学:研究の問いの立て方 ― バイオマーカーから患者報告型アウトカム(PRO)まで
Clinical and Experimental Nephrology
2026;
doi:10.1007/s10157-026-02822-z
(in press)
栗田宜明, 河原崎宏雄, 石橋由孝, 柴垣有吾
腎と透析
2025;
99:
522–529.
doi:10.24479/kd.0000002067
腎臓・透析における臨床研究で用いられるPRO (patient reported outcome) とPRE (patient reported experience)に関するコンセプトや使い道、健康関連ホープ尺度について解説しています。

栗田宜明
腎・透析医療における医療者-患者関係の臨床研究:共通の入り口としての信頼、共通のアウトカムとしてのホープ
日本サイコネフロロジー学会誌
2025;
(in press)
栗田宜明.
CKD・透析・腎移植 臨床検査ガイド
2025;
394-399.
慢性腎臓病の生活の質(QOL)を評価する方法の一つとして、健康関連QOL尺度のSF-36ⓇやKDQOL-SF™の活用法について解説しています。

Kurita N, Wakita T, Fujimoto S, Yanagi M, Koitabashi K, Yazawa M, Suzuki T, Kawarazaki H, Ishibashi Y, Shibagaki Y.
慢性腎臓病および透析において健康関連ホープが水分制限・食事制限に伴う苦痛におよぼす影響
BMC Nephrology
2024;
25:
362.
doi:10.1186/s12882-024-03818-1
Kurita N, Nikaido T, Tominaga R, Endo Y, Niihata K, Aoki Y, Ohba T, Kimura A, Toyoda H, Nakanishi K, Hirai T, Yamato Y, Fujita N, Konno S, Ohtori S,
Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
2024;
doi:10.70887/jslsd-002
栗田宜明
日本透析医会雑誌
2024;
39:
85-92.
栗田宜明
腎疾患における臨床研究の進歩 【臨床研究の最新手法】周辺構造モデル
腎と透析 東京医学社
2022;
93巻3号(9月号):
335-340.
腎透析領域の臨床研究で応用されている周辺構造モデル(marginal structural model)について解説しています。特に、周辺構造モデルを必要とする臨床セッティングとクリニカル・クェスチョンの例、周辺構造モデルで用いられる統計モデルの例、解釈の仕方や注意点について説明を試みました。



