業績

Tokumoto M, Tokunaga S, Asada S, Endo Y, Kurita N, Fukagawa M, Akizawa T
二次性副甲状腺機能亢進症を有する血液透析患者におけるエボカルセットの高用量投与を要する因子
PLOS ONE 2022; 17: e0279078.

第3相データの最終的なエボカルセット(カルシウム受容体作動薬)の投与量に着目し、評価期間(28週~30週)における血清インタクトPTH(iPTH)値、補正カルシウム(Ca)値、リン酸(P)値、安全性が分析されました。また、高用量のエボカルセットの使用を予測する治療開始前の患者特性を評価しました。若年・シナカルセットの使用歴・血清iPTHと補正Ca・プロコラーゲン1型N末端プロペプチド・FGF-23の高値,副甲状腺最大容積の大きさが、高用量のエボカルセット投与と関連していました。肥大した副甲状腺ではカルシウム感受性が低下していること、骨回転が亢進している状態であることが改めて示唆されました。主指導教員が主に分析のアプローチ面からコミットしました。

Nishiwaki H*, Niihata K*, Kinoshita M, Fujimura M, Kurosawa K, Sakuramachi Y, Takano K, Matsunaga S, Okamura S, Kitatani M, Tsujii S, Hayashino Y, Kurita N. (*equally contributed)
糖尿病で持続的な微量アルブミン尿への進展を予測する尿中C-メガリン:コホート研究
Diabetes Research and Clinical Practice 2022; 186: 109810.

尿中バイオマーカーの1つ、C-megalinが、早期の糖尿病性腎症(微量アルブミン尿の持続)の発症を予測するか否かを検証したコホート研究です。1型糖尿病と2型糖尿病の方752名を対象にしました。尿中C-megalin・クレアチニン比は、尿中アルブミンの量が少ない状態であるほど、微量アルブミン尿の発生との関係性が強くなることが示されました。また、尿中アルブミンに尿中C-megalinを上乗せすることで、持続する微量アルブミン尿の発症予測が改善する可能性も示されました。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化を進めました。メンターのお1人であった林野泰明先生(天理よろづ相談所病院)のご支援や、きっかけを作ってくださった淺沼克彦教授(千葉大学)や福原教授(京都大学)など、多くのご縁のお蔭で第二弾を可視化することができました。[※研究成果が、福島民報 日刊に掲載されました。糖尿病患者、腎臓での合併症 予測に新検査法「有効」. 福島民報. 2022年3月29日 日刊25ページ. また、福島民友に掲載されました。糖尿病性腎症の発症予測 検査方法開発へ 福島医大. 福島民友. 2022年4月1日 日刊3ページ.]

Oguro N, Suzuki R, Yajima N, Sakurai K, Wakita T, Hall MA, Kurita N#. (#corresponding author)
家族の医療体験が自分の主治医や医師全般へのトラスト(信頼感)に与えるインパクト
BMC Health Services Research 2021; 21: 1122.

成人の非感染性疾患(がん、糖尿病、うつ病、心疾患、膠原病)の患者を対象に、家族の受けた医療に対する不満が、現在の主治医への信頼度や医師全般への信頼度にどのぐらい影響をおよぼすのかを調査しました。主治医に対する信頼は、今回我々が日本語化した5項目の短縮版Wake Forest Physician Trust Scaleで評価しました。家族の受けた医療に対する不満は、医師全般に対する信頼の低下と関連(平均差 -9.58点、95%CI -12.4点~-6.76点)。現在の主治医に対する信頼度も低下しましたが、低下の大きさは、医師全般に対する信頼度の低下の大きさに比べると弱いものでした(平均差 -3.19点、95%CI -6.02点~-0.36点)。ウェイク・フォレスト大学医学部のMark Hall教授との共同研究であり、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田)を受けたTRUMP2-Netプロジェクト(the Trust Measurement for Physicians and Patients - the Net survey) の成果です。

Suzuki R, Yajima N, Sakurai K, Oguro N, Wakita T, Thom DH, Kurita N#. (#corresponding author)
誤診経験と現主治医への信頼との関係性
Journal of General Internal Medicine 2022; 37: 1115-1121.

成人の非感染性疾患(がん、糖尿病、うつ病、心疾患、膠原病)の患者を対象に、患者本人及び、患者家族の誤診経験が現主治医への信頼にどの程度影響をおよぼすのかを調べました。主治医に対する信頼は、今回我々が日本語化した11項目の改良版Trust in Physicians Scaleで評価しました。患者および家族の誤診経験は、現主治医に対する信頼の低下と関連していました(平均差 -4.30点、95%CI -8.12点~-0.49点および-3.20点、95%CI -6.34点~-0.05点)。隠れた信頼低下の原因として、患者本人や家族の誤診体験に着目することの重要性が示唆されました。スタンフォード大学医学部のThom教授との共同研究であり、科学研究費補助金の助成(基盤研究(B) 課題番号19KT0021; 研究代表者:栗田; 研究分担者:矢嶋 脇田)を受けたTRUMP2-Netプロジェクト (the Trust Measurement for Physicians and Patients - the Net survey) の成果です。[free-fulltext (全文読めます)][※研究成果が、福島民報に掲載されました。患者らの誤診体験 別の医師でも信頼低下. 福島民報. 2021年7月7日 日刊2ページ. また、福島民友に掲載されました。主治医の信頼度数値化 福島医大 患者への質問票開発. 福島民友. 2021年7月7日 日刊3ページ. また、デンマーク患者安全学会が発行するニュースレターでも紹介されました。Fagligt Nyt om patientsikkerhed, Dansk Selskab for Patientsikkerhed.]

Kurita N#, Kinoshita M, Fujimura M, Kurosawa K, Sakuramachi Y, Takano K, Okamura S, Kitatani M, Tsujii S, Norton CE, Hayashino Y. (#corresponding author)
糖尿病における尿中C-メガリンとアルブミン尿・腎機能の関係性:横断研究
Journal of Nephrology 2022; 35: 201–210.

尿中バイオマーカーの1つ、C-megalinが、腎機能やアルブミン尿を反映するか否かを検証した横断研究です。1型糖尿病と2型糖尿病の方1576名を対象にしました。尿中C-megalin濃度と、尿中C-megalin・クレアチニン比はいずれもアルブミン尿の増加とともに上昇することがわかりました。腎機能が保たれているステージに限っては、腎機能が低くなるほど尿中C-megalin濃度の値が高くなる可能性が示されました。C-megalinの臨床的意義については、縦断的な検証が必要です。主指導教員が、ロジスティクスを含めた研究計画の立案・解析・論文化を進めました。メンターのお1人であった林野泰明先生(天理よろづ相談所病院)のご支援や、きっかけを作ってくださった淺沼克彦教授(千葉大学)や福原教授(京都大学)、分析のご助言をくださったNorton教授(ミシガン大学)など、多くのご縁のお蔭で第一弾を可視化することができました。

Omae K, Kurita N#, Takahashi S, Fukuma S, Yamamoto Y, Fukuhara S, and The Sukagawa Study Group (Collaborators: Iida H, Niihata K, Tominaga R). (#corresponding author)
AGEs蓄積と過活動膀胱(OAB)の関係性:須賀川研究
Asian Journal of Urology 2021; 8: 189-196.

終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End-products)が蓄積しているほど、過活動膀胱である可能性が高いか否かを検証した横断研究です。過活動膀胱は、尿意切迫感(突然にトイレに行きたくなって我慢ができない状況)を中心に、頻尿・夜間頻尿・失禁を伴うものです。膀胱組織における終末糖化産物の関与を示唆する先行研究があったにもかかわらず、健常な後期高齢者においては、過活動膀胱との関連性があるとはいえませんでした。ネガティブスタディーは一般的にアクセプトされにくいですが、臨床研究教育推進部の大前先生が辛抱強く研究を続けて出版されました。臨床研究イノベーションセンターが受託している須賀川市の健康長寿事業から生まれた成果です。主指導教員が解析・論文化で参画させていただいたことに、感謝しております。全文お読みいただけます[free-fulltext]。

Kojima Y, Yokoya S, Kurita N, Idaka T, Ishikawa T, Tanaka H, Ezawa Y, Ohto H.
福島第一原子力発電所事故後の停留精巣: 因果関係か偶然か?
Fukushima Journal of Medical Science 2019; 65: 76-98.

停留精巣は男児の先天性疾患で多いものです。福島第一原子力発電所事故後の停留精巣について執筆された論文“Nationwide increase in cryptorchidism after the Fukushima nuclear accident.”に対して、研究デザイン・データ解析手法・考察の妥当性などを多角的に検討しています。ご多忙の小島教授(泌尿器科学講座)が中心となって執筆した長編レビュー論文です。主指導教員はご縁をいただき、先行論文の研究デザインやデータ解析の適切さに対する評価でコミットさせていただきました。全文読めます[free-fulltext]。

Inoue H, Shimizu S, Watanabe K, Kamiyama Y, Shima H, Nakase A, Ishida H, Kurita N, Fukuma S, Fukuhara S, Yamada Y
Nephrology Dialysis Transplantation 2018; 33: 676-683.

血液透析患者の腹部大動脈レベルにおける血管石灰化の2年間の推移(トラジェクトリー)混合軌跡モデリング(Group-based multi-trajectory modeling)でグループ分けされました。石灰化の急激な増加のグループと、研究開始時点で高度な石灰化があり、ゆっくり増加するグループの両方が、その後の悪い生命予後と関連する結果となっていました。

Niihata K*, Takahashi S*, Kurita N#, Yajima N, Omae K, Fukuma S, Okano T, Nomoto Y, Omori K, Fukuhara S. (*Equally contributed; Collaborators: Iida H, Tominaga R; #corresponding author)
高齢地域住民における終末糖化産物(AGEs)の蓄積と難聴の関係性:須賀川研究
Journal of the American Medical Directors Association 2018; 19: 235-239.e1.

終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End-products)が蓄積しているほど、聴力障害である可能性が高いことを示した横断研究です。新畑先生と高橋先生がリサーチ・クエスチョンを考案し、主筆されました。臨床研究イノベーションセンターが受託している須賀川市の健康長寿事業から生まれた成果です。主指導教員が解析・論文化で参画させていただいたことに、感謝しております。